住宅ローンと連帯保証人の要否を例外的ケースとともに解説

マイホームを購入する際には、住宅ローンを組む方が多いと思います。
もっとも、住宅ローンはその返済期間が数十年に及ぶことが殆どであるため、連帯保証人をつけることを求められるのでは?と不安になる方もいらっしゃると思います。

そもそも住宅ローンを組むにあたり、連帯保証人をつける必要があるのでしょうか。
今回のコラムでは、住宅ローンと連帯保証人の要否を中心に分かりやすく解説します。

保証人・連帯保証人・連帯債務者の違い

住宅ローンは、その組み方によって条件も異なります。
連帯保証人をつけることが条件となる場合もあれば、連帯債務者をつけることが条件となる場合もあります。
連帯保証人と保証人、連帯債務者は混同しやすく、これらの違いを理解していない方も少なくありません。

住宅ローンと連帯保証人の要否について見ていく前に、これらの違いを簡単に説明したいと思います。

保証人とは

「保証人」と「連帯保証人」を同一のものとして理解している方もいますが、両者は異なります。

保証人と連帯保証人は、いずれも主債務者が返済できなくなった場合に、主債務者に代わって借金を返済しなければならないという点では共通しています。

しかし、保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」という3つの権利が認められており、これらの権利は連帯保証人には認められていません。

例えば、住宅ローン会社が保証人にローンの支払いを請求した場合、保証人は主債務者に先に請求するよう主張することができます。(催告の抗弁権
また、この場合、保証人は先に主債務者の財産を差押えるよう主張することもできます。(検索の抗弁権

さらに、保証人が複数いる場合、各保証人はその人数で割った部分のみを債務として負担することになります。(分別の利益

連帯保証人とは

連帯保証人には、先に述べた3つの権利(催告の抗弁権/検索の抗弁権/分別の利益)が認められていません。
そのため、連帯保証人は、主債務者と同一の立場で債務を負担していることになります。

つまり、住宅ローン会社からローンの支払いを請求された場合、連帯保証人は「先に主債務者に請求して欲しい」「先に主債務者の財産を差押えて欲しい」といった主張はできず、ローンを支払わなければならないのです。

このように、保証人と比べて連帯保証人の責任は重くなっており、住宅ローンの関係で出てくる「保証人」は連帯保証人を意味しているものと考えて問題ありません。

連帯債務者とは

「連帯債務」とは、主債務者が負担する債務について、主債務者と同じように全額の債務を負担することをいいます。

例えば、主債務者が借入れた100万円につき、連帯債務者になっている者は、主債務者と同じように100万円の債務を負担することになります。

住宅ローンを組む時に連帯保証人・連帯債務者は必要?

住宅ローンを組む場合、その額は高額となるのが一般的です。
そのため、連帯保証人や連帯債務者をつけることが条件となりそうですが、実際のところはどうなのでしょうか。

連帯保証人をつけることは原則不要である

結論から先にいうと、住宅ローンを組む際に、連帯保証人や連帯債務者をつけることは原則不要です。
連帯保証人や連帯債務者は、住宅ローンを貸し付ける金融機関等が貸し倒れを回避するために、主債務者につけてもらうものです。

住宅ローンを組む場合には、ローンの支払いを担保するために住宅に担保権(抵当権など)を設定することが一般的です。
そのため、主債務者がローンを支払えなくなった場合には、担保権を実行することにより住宅ローンの残債を回収することができ、連帯保証人や連帯債務者までつける必要性がないのです。

保証会社を利用するケースもある

連帯保証人や連帯債務者ではなく、保証会社を利用するケースもあります。

保証会社は、連帯保証人や連帯債務者と同じように、主債務者がローンを支払えなくなった場合に、主債務者に代わってローンを支払うことを業としています。

一般的に、連帯保証人や連帯債務者になってくれる人を探すのは簡単なことではありません。
保証会社を利用すれば、保証料がかかるものの、連帯保証人や連帯債務者を探す必要はなくなります。

連帯保証人・連帯債務者をつけることが条件となるケース

住宅ローンを組む際に、連帯保証人や連帯債務者をつけることは原則不要ですが、例外的につけることが条件となっている場合もあります。

連帯保証人をつけることが条件となるケース

住宅ローンの借入れには、いくつかの方法があります。
その中でも、収入合算」または「ペアローン」という方法で住宅ローンを組む場合には、連帯保証人をつける必要があります。

「収入合算」とは、申込者の年収に、配偶者や父母といった近親者の年収を合算して住宅ローンを借入れることをいい、住宅ローンの借入額を増やすために使われる方法です。
収入合算の場合、住宅ローンを組んだ本人が主債務者となり、年収を合算された人(配偶者や父母など)は連帯保証人になる必要があります。

これに対し「ペアローン」とは、複数の者がそれぞれにローンを組み、お互いの債務について連帯保証するという借入方法をいいます。
例えば、住宅ローンにつき夫婦がペアローンを組む場合、夫婦がそれぞれにローンを組み、夫が組んだローンについて妻が、妻が組んだローンについて夫が連帯保証人になる必要があります。

連帯債務者をつけることが条件となるケース

収入合算をして「フラット35」を組む場合、連帯債務者をつけることが条件となります。
「フラット35」とは、金融機関が住宅金融支援機構と提携して取り扱う、全期間固定金利型住宅ローンです。

「フラット35」では、収入合算をできる人の条件が決められおり、具体的には、①申込者の親、子、配偶者である②申込時の年齢が70歳未満である③申込者と同居している④連帯債務者になる人の4つの条件をすべて満たしていることが必要です。

住宅ローンの支払いでお悩みの方は早めの対策を

住宅ローンの支払期間は、長期に渡ることが一般的です。
そのため、途中でローンの支払いが苦しくなったり、ローンを支払っていくことが難しくなったりするケースもあります。

このような場合には、できるだけ早期に対策を講じることが必要になってきます。
特に、住宅ローンにつき連帯保証人がついている場合には、可能な限り連帯保証人に迷惑がかからないようにしなければなりません。

連帯保証人にとって、もっとも避けたい事態は、多額の保証債務を負ってしまうということです。
連帯保証人が多額の保証債務を負わないようにするためには、「任意売却」を検討することが必要になってきます。

通常、住宅ローンの支払いが一定期間滞納すると、金融機関等は競売を申立て、競売によって売却した代金を残りの住宅ローンに充当しようとします。
しかし、競売で売却される金額は、任意売却で売却する金額よりも低額であることが多いため、多額の債務が残ってしまう可能性が高いです。

主債務者が、競売後に残った多額の債務を支払えずに自己破産などをしてしまうと、連帯保証人に支払いの請求がなされ、連帯保証人がその債務を支払えなければ、連帯保証人も自己破産を検討せざるを得なくなります。

このような事態を避けるためには、任意売却により、できるだけ高く住宅を売却して住宅ローンの残債を少しでも減らすことが大切なのです。

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