税金滞納でも差押え?家族への影響や3つの対処法を解説!
職を失ったり収入が減ったりすると、生活に関わる支払いを優先して税金の納付が遅れがちになることがあります。
遅れながらも支払っていれば大きな問題にはなりませんが、税金の滞納が一定期間続いた場合、通常の借金と同じように財産を差押えられることはあるのでしょうか。
本記事では、税金を滞納した場合にどうなるのか、また、家族にも何らかの影響が及ぶのかという話にも触れながら、その際の対処法について解説いたします。
株式会社いちとり
代表取締役/代表相談員
林 達治
東証一部上場不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社を経て、日本全国の不動産を対象とした任意売却を専門に扱う「株式会社いちとり」を設立。
勇気を出して相談してくださったご相談者様に最後まで寄り添ってサポートすることを信条に、現在も会社代表を務めながら代表相談員として、住宅ローンの悩みを抱える方々の問題解決のために精力的に活動している。
長年培ってきた任意売却に関する豊富な知識と経験を活かして、個人・法人問わず、年間500件以上の相談を受けており信頼も篤い。
税金滞納を放置するとどうなるのか
税金の滞納が一定期間続くと、最悪の場合、預貯金や給与、自宅などの不動産といった財産に差押えが入ることがあります。
差押えまでの具体的な流れは次の通りです。
督促状が届く
まずは、税務署や役所から督促状が届きます。
督促状には、未納となっている税金の金額などが記載されており、督促状を受け取った場合には、速やかに未納分を納付する必要があります。未納分を速やかに納付すれば、税金の滞納が解消されるため、大きな問題に発展することはありません。
督促状を受け取ってから税金を納付する場合は、既に法定納期限が過ぎているため、「延滞税」が別に課されますので注意してください!
滞納処分(差押え)を受ける
督促状を受け取ったにも関わらず、税金の未納分を納付しないでいると、滞納処分としての差押えが実行され「差押通知書」が届きます。差押通知書には、差押えに係る税金の額や納期限、差押えの対象となる財産などについて記載されています。
税金の滞納が及ぼす影響
税金を滞納すると、家族や仕事に影響が及びはしないかと不安になる方もいらっしゃると思います。税金の滞納は、あくまで納税義務者の問題であるため、家族や仕事に影響は及ばないようにも思えますが、実際のところはどうなのでしょうか。
家族への影響
税金を滞納したとしても、そのことが直接家族に影響するということはありません。税金の滞納は、あくまで納税義務者の問題ですので、代わりに税金を支払うよう家族が要求されたり、家族名義の財産が差押えられたりすることはありません。
しかし、家族に対して間接的に影響を及ぼす可能性はあります。
例えば、滞納者の給与が差押えられてしまうと家族の生活が圧迫される可能性があります。また、自宅が差押えられてしまえば、家族も一緒に家を退去しなければならなくなりますので、結果的に家族に影響を与えることになります。
仕事への影響
税金を滞納して給与を差押さえられた場合、勤務先に「債権差押命令」の通知書が送られます。
勤務先は、滞納者の給与から毎月決められた額を天引きし、その額を役所や税務署に納付することになります。滞納処分としての差押えは、税金の未納分が完済されるまで継続されるため、それまでの間は、本人が給与を全額受け取ることができなくなります。
税金を滞納しただけでは、仕事に大きく影響することはありませんが、給与を差押えられた場合、勤務先にはその事実が知られてしまいます。
信用情報への影響
「信用情報」とは、ローンやクレジットカードの契約や申込みなどに関する情報のことをいいます。
個人の信用情報は、3つの信用情報機関により管理されていますが、管理されている情報はそれだけではありません。借入金の返済が延滞したり、借金を整理するために債務整理をしたりすると、そのことが「金融事故情報」として登録されることになっています。これがいわゆる「ブラックリストに載る」ということです。
ブラックリストに載ると、一定期間ローンを組んだり、クレジットカードの新規申込みができなくなるといったデメリットがあります。
では、税金の滞納についても、借金の延滞と同じようにブラックリストに載ることになるのでしょうか。この点について、税金の滞納はブラックリストには載らないことになっています。そのため、上記のようなデメリットはありません。
税金納付が困難な場合の対処法
税金を納付することが困難になる理由は、人によって様々です。
どうしても税金を納付できないという場合には、以下のような対処法を検討することが必要になります。
税務署・役所に連絡をする
法定納期限までに税金を納付することが難しい状況である場合には、管轄の税務署や市役所に連絡を入れて、まずは現状を伝えることが大切です。その際には、納付が困難な理由をできる限り具体的に説明し、今後の見通しなども伝えることをお勧めします。
連絡も入れずに放置してしまうと、対応が不誠実だと捉えられ、差押えのための準備を進められてしまうこともあるため注意するようにしましょう。
誠実に対応することで、納期限の延長や分割での支払いを認めてくれるケースもあります。また、税金の納付については猶予制度が設けられているため、猶予制度の概要や利用の可否について案内してくれることもあります。
まずは、税務署や役所に連絡を入れて相談することにより、納付の意思があることを先方に伝えることが大切です。
債務整理を検討する
税金を納付できない原因が多額の借金にある場合には、「債務整理」の検討をお勧めします。
債務整理には、大きく「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあり、本人の収支状況や資産などに応じて、解決方法として適した手続きを選択することになります。
既に説明をしましたが、税金を一定期間滞納してしまうと、預貯金や給与、不動産などを差押えられてしまう可能性があります。債務整理に着手することで、差押えを回避できることもありますので、早い段階で弁護士などの専門家に相談することが最善の方法です。
任意売却を検討する
税金を滞納している本人が自宅を所有している場合には、債務整理の前にまずは「任意売却」を検討してみるのが良いでしょう。
「任意売却」とは、債権者と債務者が協力して、不動産を市場で売却することです。税金の滞納により自宅を差押えられてしまうと「公売」にかけられる可能性が高まります。公売での売却価格は、市場相場より低くなることが一般的です。
その点、任意売却では、市場相場に近い価格で売却することができるため、残っている住宅ローンを公売より圧縮することができ、場合によっては手元にお金を残すことも可能です。自宅を差押えられた後であっても、債権者である税務署や自治体などとの協議によって任意売却できるケースはありますので、まずは、任意売却を専門に扱う不動産会社に相談されることをお勧めします。
税金滞納で財産が差押えられる前に早めの対策を!
税金の滞納により財産が差押えられてしまうと、家族に直接的な影響が及ぶことはないものの、生活費を切り詰める必要が生じたり、自宅から出て行かなければならなくなる可能性があります。
特に、自宅が公売にかけられてしまうと、市場相場より安価で売却される可能性が高いため、自宅を手放すことになるだけでなく、売却後にも多額の債務が残ってしまう可能性が高いです。
このような事態を避けるためには、税務署や役所に対して適切な対応をとることが必要であり、自宅を所有している場合には、任意売却も視野に入れて検討することが重要になってきます。任意売却をすることで、リースバックによってそのまま自宅に住み続けられるという可能性も残されます。
税金の納付が難しいと感じた場合には、早めに対策を講じることをお勧めします!