【フラット35利用者必見】住宅ローン返済困難時の解決方法とは?

 

住宅ローン「フラット35」を利用して夢のマイホームを手に入れたものの、予期せぬ収入の減少や生活費の増加などにより、住宅ローンの返済が難しくなってしまう――これは決して他人事ではありません。たとえ、長期固定金利型で安心感のある商品であるとはいえ、返済が困難になったときの対策を知っておくことはとても大切です。

もし、返済に行き詰まったらどのような解決方法があるのでしょうか?また、早めに対策に乗り出すことでどのようなサポートが受けられるのでしょうか?

本記事では、全期間固定金利型「フラット35」の利用者が、万が一返済困難に陥った場合の具体的な解決方法や支援制度をわかりやすく解説していきます。あなたの不安や悩みを軽減するための情報として、ぜひ参考にしてください。

【執筆】

株式会社いちとり
代表取締役/代表相談員

林 達治

東証一部上場不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社を経て、日本全国の不動産を対象とした任意売却を専門に扱う株式会社いちとりを東京都新宿区に設立。

勇気を出して相談してくださったご相談者様に最後まで寄り添ってサポートすることを信条に、現在も会社代表を務めながら代表相談員として、住宅ローンの悩みを抱える方々の問題解決のために精力的に活動している。

長年培ってきた任意売却に関する豊富な知識と経験を活かして、個人・法人問わず、年間500件以上の相談を受けており信頼も篤い。

目次

住宅ローン返済が困難になる理由と影響

住宅ローンは、多くの人にとって夢のマイホームを手に入れるための大きな決断ですが、返済が思うように進まなくなったとき、その影響は家計だけでなく心身にも及ぶことがあります。様々な事情が複雑に絡み合い、計画通りにいかなくなるということは実際珍しくありません。一体、どのような理由が住宅ローンの返済を難しくしてしまうのでしょうか。さらに、返済が滞ったときにはどのような影響が待っているのでしょうか。

まずは、住宅ローン返済が困難になる主な原因と、それによって生じる生活面への影響についてみていきましょう。

返済が滞る多くの理由とは

住宅ローンの返済が滞る主な理由には、失業や収入減少、病気やケガといった予期せぬ事態、そして家計の誤算などが挙げられます。特にフラット35のような固定金利型住宅ローンを利用している場合、月々の返済額は一定のため、収支のバランスが崩れてしまうと支払いが難しくなる場合があります。

また、家族構成の変化や高額な教育費、介護費用などの生活費増加も影響するケースがあります。これらの問題に直面したとき「住宅ローンが払えない」という状況を避けるためには早期の対処が必要です。

滞納が与える信用情報への影響

住宅ローンの返済を滞納すると、信用情報機関に事故情報として登録される可能性が高まります。具体的には、滞納が61日以上または3ヶ月を超えると世間でいわれるところの「ブラックリスト」に載る状態となり、新たな借入れやカードの利用が制限されることになります。

この影響は、将来的にクレジットカードの発行や他のローン審査にまで及ぶため、債務者にとっては深刻な問題です。また、信頼を回復するには数年を要するため、長期的な生活設計に支障をきたすリスクが伴います。

最終的に競売に至るまでの流れ

住宅ローンの滞納が続いた場合は、最終的に競売のリスクに直面します。フラット35を利用している場合、一般的に滞納から1ヶ月が経過すると金融機関から督促状が送られ、3ヶ月目には信用情報に事故情報として登録されます。その後、6ヶ月目には「期限の利益」が喪失し、借入契約の一括返済が求められることになります。そして、おおよそ8ヶ月を過ぎても返済が見込めない場合、最終的に差押えが行われ、競売の申立てがなされます。

競売では、不動産価格が市場価格より低くなることが多いため、債務者が「高く売却したい」と希望しても、一般市場での売却希望を叶えることが難しい状況となります。そのため、競売を回避するためには早期の対応が重要になるのです。

競売を回避するための第一歩:現状把握と相談

このままでは競売になってしまうかもしれない――そのような不安を抱えていませんか。競売にかけられる前にできることは、実はたくさんあります。しかし、何から手を付けていいのか分からず、ただ時間だけが過ぎてしまうといったケースも少なくありません。

競売を回避するための第一歩は、まず今の自分の状況を正しく知ること、そして早い段階で専門家に相談することです。一体どのような選択肢があり、どのような行動を起こせば良いのか、まずは現状把握の方法と相談の具体的な進め方について一緒に確認していきましょう。

金融機関への早めの相談がカギ

住宅ローンの返済が困難になった場合、最も重要なのは問題が深刻化する前に、お金を借りた金融機関に相談することです。遅延が発生すると、金融機関からの督促が始まり、延滞金が発生し、最終的に競売に至る可能性が高くなるからです。

金融機関に直接相談するのは勇気がいることではありますが、早めに相談すれば金融機関の担当者は、債務者が返済を継続できるように方策を一緒に考えてくれることが多く、返済期間の延長や一時的な支払い猶予といった提案を受けられるケースもあります。フラット35の場合でも、早期に相談を持ち掛ければ、担保の差押えや競売を回避できる可能性が見出せるかもしれません。

無料相談窓口を活用する方法

さて、次に重要なのは、やはり早めに専門家に相談するということです。専門家に相談することで解決の糸口が見つかるかもしれません。自治体が運営する無料相談窓口でも、住宅ローンの滞納や競売のリスクについて具体的なアドバイスを受けられる場合があります。

また、任意売却を専門とする企業や法律の専門家が対応してくれる場合もあり、できるだけ高額で売却したい方や任意売却を検討している方にとって心強いサポートとなります。まずは、自治体の窓口、金融庁や財務局などの相談受付情報などを確認し、適切な相談先を探してみてください。

【参考】金融庁:金融庁に設置されている各種窓口のご案内 ※金融庁のサイトに移行します(外部サイト)

【参考】財務省関東財務局:各種相談・情報受付窓口 ※財務省関東財務局のサイトに移行します(外部サイト)

「フラット35」利用者特有の支援策について

フラット35を利用している場合、返済が困難になった際には特定の支援を受けられることがあります。その支援策のひとつとして、収入が減少したときの一時返済猶予や、返済期間を延ばすことで月々の支払いの負担を軽減する方法などがあります。フラット35では、返済条件の変更を含む柔軟な対応が可能です。

また、債務者の意向を考慮した「任意売却」をサポートしてくれることもあります。フラット35の公式窓口や対応する金融機関に早めに相談し、自分に適した支援策があるかどうかを確認してみることもお勧めします。

【参考】〈フラット35〉よくある質問:ご返済について ※フラット35のサイトに移行します(外部サイト)

選択肢を考える:競売以外の解決方法

月々の返済が本当に厳しくなってきたとき、多くの方がまず思いつくのが「競売」という選択肢です。しかし、競売は早く解決できる反面、市場価格よりも大幅に低い価格で不動産が処分されてしまうリスクや、精神的な負担が大きくのしかかるというデメリットもあります。

しかし、実際には競売以外にもさまざまな解決方法が存在します。その中で、自身やご家族にとってより納得のいく選択肢を見つけられるかもしれません。では、競売以外で解決する方法にはどのようなものがあるのか、その特徴やメリット・デメリットを確認していきましょう。

任意売却とそのメリット・デメリット

まず、競売以外で問題を解決する方法のひとつに「任意売却」という手続きがあります。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者である金融機関と協議の上で、担保となっている不動産を市場相場に近い価格で売却する方法です。競売とは異なり、任意売却は一般市場で売却を進められるため、競売よりも高く売却できるケースが多いのが特長です。

また、任意売却のメリットとして、不動産が競売にかけられる前に「高く売却したい」という意向を反映しやすいことや、競売の場合に比べてプライバシーが守られることなどが挙げられます。さらに、売却後に発生する債務(いわゆる残債)についても、金融機関と相談しながら柔軟な返済計画を検討する余地が生まれる点が魅力です。

一方で、任意売却にはデメリットも存在します。たとえば、金融機関との合意が前提となるため、債務者が単独で手続きを進めることはできません。また、市場相場に近い価格で売却できるといっても、売却額で住宅ローンの残債を全額カバーできないケースもあります。さらに、任意売却を進めるには専門家のサポートが必要となる場合が多く、適切な不動産会社や相談窓口を選ばなければなりません。

リースバックを活用した住居の確保

次に「リースバック」を活用する方法です。リースバックは、住宅を売却した後もその家に住み続けることができる仕組みです。この方法では、不動産を購入した新しい所有者に家賃を支払う形で引き続き住み続けることが可能になります。競売を避けたいけれども、その住宅からは引越したくないという方にとっては魅力的な選択肢です。

リースバックのメリットとしては、住み慣れた自宅にそのまま住み続けられることが挙げられます。お子様の学校や近隣住人との人間関係などを維持することができるため、生活への影響を最小限に抑えることができます。また、一旦住宅を売却することで住宅ローンの精算が可能になり、負債軽減につながる点も大きな利点です。

但し、リースバックにはデメリットもあります。売却価格が市場価格よりも低く設定される可能性があるため、高く売却したいと考えている場合には不向きです。さらに、家賃が支払い可能な範囲を超えるケースや、新たな家賃設定に厳しい条件がつけられることもあるため、事前に十分なシミュレーションを行う必要があります。

親族間売買で競売を回避する方法

親族間売買とは、競売や差押えを防ぐために、親族に不動産を売却する方法です。住宅ローンを払えない状況に陥っても家族間でサポートし合うことで、自宅を手放さないで済む可能性があります。この方法を活用することで、競売による不動産の大幅な評価減を避けることができます。

親族間売買のメリットは、自宅を確実に守れる点と、親族間で柔軟な支払い条件を設定できる点です。たとえば、市場価格よりやや低い金額で売買を進めることができるため、早期に債務を整理でき、自宅の差押えや競売を回避する手段となります。

しかし、親族間売買には注意が必要です。まず、金融機関がこの取引を認めない場合があるほか、親族間での不動産売買でも適正価格を証明する必要性が生じることから税務上の問題が発生するケースがあります。そのため、親族間売買を検討するときには専門家のサポートを得て、適切な手続きを踏むことが重要です。

競売を避けられなかった場合の対処法

住宅ローンの返済が難しくなり、やむなく競売にかけられてしまう――そのような状況は誰しもできれば避けたいものです。しかし、様々な事情から競売を回避できなかった場合には、どのようなことが起こり、どのような対処法をとるべきなのでしょうか。実際に競売が進んでしまった時には、慌てて行動するよりも正しい知識と冷静な判断が求められます。

ここからは、競売を避けられなかった場合に考えられる影響や、知っておくと役立つ具体的な対処法について紹介していきます。大切な住まいに関わる問題だからこそ、今のうちから備えておきたい――そのように思われる方は、ぜひ続きをご覧ください。

競売後に残る住宅ローンの扱い方

競売によって自宅が売却された場合でも、住宅ローンが全額返済できるわけではありません。不動産の競売価格は市場価格よりも低くなりがちであり、残った債務は「残債務」として引き続き債務者に請求されます。この残債務については、債権者との協議によって分割払いの相談や一部免除などの和解案を模索することが重要です。

また、場合によっては「債務整理」という手段も考慮する必要があります。個人再生や自己破産を検討することで、法的に債務を軽減したり免責を受けられる可能性があります。但し、これらの手段は信用情報への影響があることから慎重に判断したほうがよいでしょう。

強制退去後の生活再建に向けた計画

競売後に自宅を明け渡す必要がある場合、直後の生活設計が非常に重要です。まずは、次に住む場所を早急に確保しなければなりません。賃貸住宅などへの引越しを検討しつつ、新たな生活基盤を整えるために計画的な対応が求められます。

生活再建に向けては、行政の住宅支援サービスや地域の公的支援を調べてみるのも有効です。また、住居確保給付金といった制度もありますので必要に応じて利用を検討してみるのもよいでしょう。まずは、家族の生活を安定させることが再出発の第一歩となります。

【参考】厚生労働省:住居確保給付金制度概要 ※厚生労働省のサイトに移行します(外部サイト)

再出発に向けた金融機関や支援機関の活用

競売後の再出発をスムーズに進めるためには、金融機関や公的機関の支援を積極的に活用することです。特にフラット35を利用していた場合、特有の支援策がありますので確認してみましょう。また、住宅ローン返済が困難で競売に至った場合でも、相談窓口で将来的な返済プランや救済措置についてアドバイスが得られるケースがあります。

さらに、住宅金融支援機構や地域の法律相談窓口、非営利の住宅ローン滞納カウンセリングサービスなどが再建のための指針を提供しています。これらの支援や相談を受けることで、生活の安定と将来の計画作りが可能となるため、早めに相談を始めることをお勧めします。

今後の滞納を防ぐためのポイント

家賃や公共料金、ローンの支払いなど、日常生活にはさまざまな「支払い」が存在します。これらの支払いは、うっかり忘れてしまったり、急な出費が重なったりすると、滞納となってしまう可能性が誰にでもあります。一度滞納してしまうと精神的な負担が増えたり、信用情報に影響が出てしまうことにも繋がるため、事前に予防策を講じておくことが重要です。

それでは最後に、滞納を防ぐために私たちができることをいくつかご紹介します。すぐに取り入れられるヒントもあるかと思いますので、この機会にぜひ確認してみてください。

家計の見直しと返済計画の立て直し

住宅ローンが払えない状況を回避するためには、まずは家計の見直しが欠かせません。月々の収支を改めてチェックし、収入と支出のバランスを把握することが大切です。特に固定費を見直すことで、毎月の支出を大幅に削減できる可能性があります。

また、無理のない返済計画を立て直すことで、将来的な競売や差押えのリスクを抑えることができます。計画を立てる際には、金融機関やファイナンシャルプランナーといったお金の専門家に相談することをお勧めします。

住宅ローン借り換えの検討

現在の住宅ローン返済が困難であれば、住宅ローンをより低金利のものに借り換える方法も有効です。フラット35で契約している場合でも、借り換え可能なローンを探すことで月々の返済額を減らせる可能性があります。

借り換えにより支払いの負担を軽減できれば、競売などのリスクを回避できるだけでなく、不動産を高く売却するための時間も確保できる可能性があります。但し、借り換えには新たな手数料や審査が必要となるため、事前に十分な情報収集と準備を行いましょう。

万が一に備える保険や外部支援の活用

収入減少や予期せぬ出費といった非常事態に備えるためには、万が一の保障を提供する保険に加入するという方法もあります。たとえば、失業時や病気で収入が減少した際に支払いを補助する保険などはいざという時に役立ちます。

また、公的支援や住宅ローン返済に関する相談窓口を積極的に活用することも良い方法です。早期の相談を通じて専門家から適切なアドバイスを受けることで、競売や担保物件としての差押えを回避するための具体的な対処方法を見つけることが可能になります。

まとめ

住宅ローンの返済が困難な状況の方には、何をおいてもまず、早い段階で必要な機関や専門家に相談していただきたいです。解決に向けての時間があればあるほど、解決策の選択肢も増えるからです。競売になる前に「競売を回避する方法を見つけたい」、「任意売却について聞いてみたい・検討してみたい」と思われた場合には、任意売却を専門に扱う会社にご相談ください。

株式会社いちとりは、東京都新宿区にある任意売却専門の不動産会社です。毎年、多くの任意売却のご依頼をいただいており、その実績も数多くございます。豊富な知識からお一人お一人の状況に合わせてアドバイスをさせていただきますので、住宅ローンでお困りの場合には、まずは一度、株式会社いちとりまでご相談ください。

 

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