固定資産税を滞納したらどうなる?延滞税や差押えなどの流れを紹介

固定資産税の額は決して低額ではないため、毎年のように頭を抱えている人もいらっしゃると思います。

とはいえ、固定資産税を滞納すると、延滞税を課されたり、最悪の場合、財産を差し押さえられたりして、多大な不利益を受けることにもなります。

今回は、固定資産税を滞納した場合に課される延滞税や、差押えなどについてわかりやすく解説します。

目次

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や建物といった不動産を対象に課税される税金です。具体的な税額は、不動産の「固定資産税評価額」に基づいて算出されます。

ここでいう「固定資産税評価額」は、不動産を評価する際の基準である「固定資産評価基準」により、各自治体が独自に決定する評価額のことです。

固定資産税評価額は、土地であれば、その所在地や面積・形状などによって、また、建物であれば、建物の規模・構造や築年数などによって税額が変わります。

一応の目安としては、土地であれば、時価の70%相当額、建物であれば、工事代金の50%~60%相当額となっています。
具体的な固定資産税評価額は、毎年送られてくる納税通知書で確認することが可能です。

固定資産税額は、この固定資産税評価額に税率(1.4%)を乗じることによって算出され、毎年1月1日時点で不動産の所有者になっている者が納税することになります。

固定資産税とは
土地や家屋、償却資産に対し、その資産が在する市区町村が課す地方税のこと。
毎年1月1日時点で「固定資産課税台帳」に所有者として登記または登録されている者が納税義務を負う。

固定資産税を滞納したあとの流れ

固定資産税を滞納したからといって、すぐに、本人に不利益が生じるわけではありません。

最終的には、強制執行を申立てられ、不動産を競売にかけられる可能性がありますが、それまでには、以下のように、一定の手順が踏まれることが一般的です。それでもなお納税に応じない場合、不動産は競売にかけられることになります。

督促状が届く

固定資産税には、納期限が設けられているため、納期限を過ぎても納付されない場合は滞納扱いとなり、督促状が送られてきます。

督促状には、固定資産税が滞納となっている旨、滞納額の支払いを請求する旨などが記載されています。そのため、督促状を受け取った場合には、可能な限り早期に滞納額を支払い、滞納を解消することが必要です。

また、滞納を解消することが困難な場合であっても、税務署に連絡を入れるなどして誠実に対応することが求められます。

財産調査

督促状が送られてきているにもかかわらず、支払いに応じなかったり、税務署に連絡を入れることもせずに放置したりすると、徴収職員により財産調査が開始されます。
ここでいう「財産調査」とは、滞納者がどのような財産を保有しているかを把握するために行われる調査のことをいいます。

財産調査は、国税徴収法という法律によって認められているものです。
そのため、財産調査が開始されると、就業先や預貯金口座など、滞納者が保有する財産は、すぐに突き止められてしまいます。

不動産などの財産を差押えられる

財産調査により滞納者に財産があることが判明すると、その財産について差押えが行われます。

差押えの対象となる財産は、不動産のほかにも、預貯金口座や給与などがあります。滞納している額にもよりますが、滞納者の財産を差押える場合には、預貯金や給与から差押えることが多いです。

不動産を差押えるよりも、手続面において、簡易かつ時間もかからないためです。

競売にかけられる

不動産を差押えられた場合、その不動産は競売にかけられ、最終的に第三者に売却されることになります。
この段階に至り、不動産を競落した第三者から不動産を取り戻そうとしても、それはできません。

このように、滞納者の対処が遅れてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうのです。
固定資産税を滞納した場合には、取り返しがつかなくなる前に、適切に対処することが必要です。

延滞金に関して

固定資産税を滞納すると、滞納額に追加して課されるのが「延滞金」です。

延滞金は、滞納している期間によって、金額が変わります。
具体的には、以下のとおりです。

■ 納期限の翌日から1ヶ月が経過するまでの間  年7.3%
■ 納期限の翌日から1ヶ月が経過して以降    年14.6%

督促状が届いた時点で、滞納税額に延滞金を足して納付すれば、滞納を解消することが可能です。

固定資産税は免責されない

税金を滞納する原因の中でももっとも多いのが、「借金」でしょう。

借金の返済が困難になると、場合によっては、自己破産をするほかなくなりますが、このときに注意しなければならないのが、税金は免責されないということです。

自己破産において、税金は非免責債権として扱われます。
そのため、滞納している固定資産税については、自己破産とは関係なく、支払う必要があります。

固定資産税を滞納した際の対処法について

固定資産税を滞納してしまった場合、できるだけ早期に対処する必要があります。

経済的に厳しい状況に置かれている滞納者も少なくないため、税務署などにおいては、以下のような対処法を設けています。
滞納者は、税務署などと相談して、自身に適した対処法を選択することが大切です。

分納

固定資産税を滞納した場合において、滞納額を一括で支払うことができる人は決して多くはありません。
この場合、職員に相談することで、分納を認めてもらえる可能性があります。

「分納」とは、言葉のとおり、滞納額を分割して支払っていくことをいいます。
具体的な分納額については、慎重に決定する必要があります。職員と相談のうえ決定することになりますが、確実に支払っていくことができる金額を分納額として設定することが大切です。

分納を認めてもらえたにもかかわらず、途中で支払いを怠ると、財産を差押えられる可能性が高まるため、注意するようにしましょう。

徴収猶予

「徴収猶予」とは、固定資産税の納付について猶予を受けられる制度です。
最長で1年間猶予を受けることができますが、徴収猶予を受けるためには、以下の条件を満たしていることが必要になります。

■ 災害等により、納税者において財産上の損失を受けた場合
■ 災害や病気、事業の休廃止等により、税金を納付できない場合

前者については、納期限が到来していないものに限られているため、滞納している固定資産税については、対象となりません。徴収猶予を受けることによって、延滞金を免除してもらえるケースもあり、また、猶予期間中においては財産を差押えられることがありません。

換価の猶予

「換価の猶予」とは、財産を差押えられた場合に、その換価につき一定期間の猶予を受けられる制度です。
換価の猶予を受けるためには、たとえば、以下のような条件を満たしていることが必要になります。

■ 滞納額を一括で支払うことにより、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合
■ 滞納者が納税に関し誠実な意思を有すること
■ 他の税金について滞納がないこと

このほかにもいくつかの条件があり、誰もが簡単に利用できる制度ではありません。

たとえば、督促状が送られてきた際に、その状況を放置したような経緯がある場合には、「納税に関し誠実な意思を有する」とはいえないため、換価の猶予を受けられる可能性は低いでしょう。

固定資産税の滞納には早めの対策を

固定資産税を滞納すると、最悪の場合、不動産を手放さなければならなくなります。

納税が苦しくなった時には、滞納する前に税務署などに相談することをおすすめします。そうすることで、分納や徴収猶予を認めてもらえる可能性があります。

また、長期的に見た場合に、固定資産税を納付し続けることが厳しいと判断した場合には、「任意売却」を検討することも選択肢の一つです。

任意売却では、競売よりも高い価格で不動産を売却できる可能性があり、また、不動産の所有権は失うことになるものの、その不動産に住み続けることができる可能性もあります。(「リースバック」といいます)

以上のように、固定資産税の滞納については、早めに対策を講じることで、結果として、不利益を最小限に抑えることができるのです。

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