リースバックの家賃はどう決まる?仕組みや押さえるべきポイントを解説

リースバックなら自宅を売却しても住み続けられる!

このようなフレーズを、最近よく見聞きしている方もいらっしゃるかと思います。
不動産のリースバックにおいては、

リースバック後の家賃はどのくらいになるのか

リースバックはどのような仕組みになっているのか

といった点は、誰もが気になるところです。
今回は、リースバックについて、その仕組みや家賃相場、メリットや注意点など、押さえるべきポイントを説明します。

目次

リースバックとは

リースバックとは、

居住しながら住宅を第三者に売却して買主と賃貸借契約を締結し、家賃を支払っていくことで、そのまま住宅に住み続けられる

という制度です。
第三者とは、親・子、親戚・知人、投資家・投資会社などをいいますが、一般的には投資家や投資会社に買ってもらうケースが多いです。

リースバックのメリット

リースバックには、以下のようなメリットがあります。

手元に現金ができる

住宅を売却することで、手元に現金を作ることができます。
手元にできたお金は、ローンや借金の返済、生活費や子供の教育費、老後の資金など、任意に使うことができます。

引っ越し・仮住まいが不要

リースバックは、住宅を売却した後もそのまま住み続けることができるため転居が不要です。
引っ越し・仮住まいなどにかかる労力や費用の負担がなくなります。

税金や住宅の維持にかかる費用負担が減る

住宅を売却することで、固定資産税などの税金の支払いがなくなります。
また、住宅の維持にかかる費用(修繕費、管理費など)の支払いも減るので、負担が減少します。

周囲に知られずに売却できる

リースバックでは、転居する必要がないため、近隣や会社などに知られずに売却活動ができます。
競売開始前であれば、個人情報や物件情報が公開されることもないため、プライバシーが守られます。

将来買い戻すことも可能

通常の不動産売却では、売却によって住宅は他人の所有物になってしまいますが、買戻し特約が付いたリースバックの場合は、売却した後でも将来資金の準備ができれば買い戻すことが可能です。

相続対策になる

将来を見据えて事前に現金化し、遺産整理をしておくことによって節税の効果があるだけでなく、いざ相続となった際の家族同士のトラブル回避にも役立ちます。

リースバックの仕組み

では、リースバックはどのような仕組みになっているのでしょうか。

リースバック物件の買取価格

リースバックでは、まず、住宅がどのくらいの金額で買ってもらえるのか気になるところですが、リースバック物件の一般的な買取価格は、市場相場の60%~80%といわれています。

投資家や投資会社などの場合は、賃料収益が目的でリースバック物件の購入を検討しますので、借主が賃料の支払いができなくなってしまうことのリスクも同時に考えます。そのため、借主が支払い不能になっても資金の回収ができるよう、市場相場よりも低い価格で買い取るのが一般的です。

リースバック物件の家賃相場

リースバックによって住宅を売却した後は、買主に毎月家賃を支払っていくことになります。
リースバックでの家賃相場は、一般的に買取価格の10%前後といわれています。この「10%前後」というのが、投資家や投資会社が求める年間の収益率(「期待利回り」と呼ばれる)になります。
また、場合によっては、家賃に不動産の維持管理に必要な経費等が加味されるケースもあります。

一般的な家賃算出方法

リースバック後の月々の家賃={買取価格×期待利回り(年率)}÷12ヶ月+α

例えば、買取価格が2,000万円で、期待利回りが10%とした場合の月額家賃は、2,000万円×10%(年率)÷12ヶ月=約16.7万円(+α)が目安となります。

リースバック後の家賃を抑えるポイント

通常、自宅を売却する時には、できるだけ高額で売却することを目指します。
しかし、リースバックの場合は、「買取価格」と「期待利回り(年率)」が賃貸時の家賃に大きく関わってきます。
そのことを踏まえて、リースバック後の家賃を抑えるためのポイントをチェックしていきましょう。

住宅を安く売却する

リースバック後の家賃を抑える方法のひとつは、「住宅を安く売却する」ことです。
リースバックでは、将来、資金の用意ができれば買い戻すことも可能ですので、あえて価格を抑えて売却することにより、買い戻したいときにも安く買い戻すことが可能になります。
但し、安く売却すると手元に残るお金が少なくなりますので、そのようなデメリットも考慮する必要があります。

期待利回りを低く設定する

もうひとつの方法は、「期待利回りを低く設定する」ことです。
しかし、投資家や投資会社の場合には、収益が目的の不動産購入になりますので、利回りが悪くなると購入意欲が落ちる可能性があります。
期待利回りを低く設定することは、あまり現実的ではないかもしれません。リースバック後の家賃を抑えたいのであれば、売却価格を安くする方向で調整するほうがよいでしょう。

売却しても債務が残る不動産のリースバック

不動産を売却しても住宅ローンが残る、いわゆるオーバーローンと呼ばれる場合には、リースバックの事情も少し変わってきます。
オーバーローンの不動産の場合は、通常の不動産売買による売却はできないため、リースバックしたいのであれば、任意売却を行う必要があります。

任意売却によるリースバックの注意点

まず、任意売却を行うにあたっては、債権者の合意が必要となります。
そして、売却価格を決めるのも債権者です。

任意売却では、不動産を売却して住宅ローンの債務を返済する必要があるため、家賃を抑えたいと思って売却価格を下げようとしても、債権者の応諾が得られなければ、希望通りにリースバックを行うことはできません。この点は注意が必要です。

任意売却によるリースバックを検討される場合は専門家に相談を

リースバックをしたくても任意売却が必要な場合には、まずは一度、任意売却の専門家に相談されることをお勧めいたします。

任意売却を専門に扱う不動産会社であれば、リースバックを含め、債務者の状況によって様々な解決方法を提案してくれるはずです。

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