サービサーと任意売却。プロが教える競売を回避した方法
今回は、住み続けることで競売を回避することが出来たという実例を紹介いたします。
競売を回避できた本田さん(仮名)のケース
本田さん(仮名)からご相談を受けたのは、問題解決から遡ること約2年前のことです。
税金滞納により自宅が差押えられ、住宅ローンもこれ以上滞納が続くと債権者(借入れをした金融機関)から競売申立されてしまう状況となり、慌てて当社へ相談にいらっしゃいました。
都内で自営業を営んでいる本田さんは、体調を崩されたことが原因で仕事量が減り、収入減になりました。
更に自営業ということもあり、一般的な住宅ローンの金利より高い金利での借入状況でしたので、仕事量が減ると同時に住宅ローンの返済、税金の支払いが滞るようになっていました。
お話しを伺った際、本田さんのご希望は、
「この先も返済し続けることは難しいと思うので、なるべく高く売却して、住宅ローンの残債務を減らしたい。でも、できることなら住み続けたい」
というものでした。
当社では本田さんの希望に沿って、高く売却する方法と、住み続ける方法を同時に模索しながら任意売却を進めることとなりました。
高金利で住宅ローンを借りていた本田さんの返済額は、まだ借入時の半分以上残っています。
さらに本田さんは多くの方々が陥りやすい、間違った選択をしてしまっていました。
それは、支払いが大変になった際、税金の支払いより、住宅ローンの返済を優先してしまうことです。
滞納者が陥りやすい間違った選択とは?
任意売却の場合、滞納した税金分を売却価格の中から配分する(支払う)ことが認められています。
ところが、滞納した税金が高額な場合や、金融機関・役所からの連絡・通知を無視し続けた場合、任意売却の同意を得られないケースがあります。
■ 滞納した税金が高額な場合 ■
■ 金融機関・役所からの連絡・通知を無視し続けた場合 ■
幸いにも本田さんは、債権者や役所と連絡が取れていたため、任意売却で解決していくことに反対されることはありませんでした。
ですが、なかなか本田さんの希望を叶えられそうな解決の糸口が見つかりません。
そのような状況が続いていたときに、今度は債権者に動きがあったのです。
債権者がとった行動とは?
債権者側が、本田さんに対する債権(※1)を、サービサー(※2)へ債権譲渡することになったのです。(交渉窓口が変わるということです)
(※1)債権: 住宅ローンを返済してもらう権利のこと
(※2)サービサー: 法務大臣から許可を受け設立された債権管理回収会社
債権者が変わった後の任意売却
債権者が変わっても、私たちのすることは変わりません。
本田さんの希望を叶えるため、引き続き新しい債権者と話し合いを行い、任意売却を進めていきました。
すると、何度も話し合いを続けていく中で、新しい債権者から提案をいただきました。
それは、そのまま住み続け、債権者にはできる範囲で少しずつ返済していくというものでした。本田さんの希望通りの提案だったのです。
すぐに本田さんへ報告し、住み続けることができるようになりました。もちろん競売申立もされておりません。
また役所に対しては、債権者との間で決まった内容を報告の上、再度、話し合いを行い、少しずつ支払っていくことで、公売(※3)も行われないことになりました。
(※3)公売: 国税など税金滞納があった際、税金回収のために差押えた財産を入札又は競り売りによって売却すること
債権譲渡により債権者が変わると状況が一変することも
何度も話し合いを繰り返していくうちに、債権者側の状況が変わることもあります。
今回は、債権者が変わり、良い方向に動いた事例を紹介いたしましたが、逆に債権者が変わったことにより、すぐに競売手続きを開始されてしまうなど、悪い方向へ進んでしまう場合もあります。
大事なのは、解決手段を1つと決めつけるのではなく、その時々の状況をみて判断し、解決策を見つけていくということです。
話し合いが、平行線の状況が続く場合、相手側の状況が変わるのを待つのも一つの手段だと思います。
ただし、自宅を失ってしまう危険も高くなりますので、自己判断ではなく、親身になって動いてくれる任意売却の担当者を見つけることが重要です。
さて、気になる当社の報酬はというと、0円です。
本田さんや債権者など、どなたからもいただいておりません。本当に0円です。
私たちの報酬は、任意売却が成功して不動産が売却できた場合、その売却金額の中から分配されることとなっています。
今回は、任意売却ではなく、話し合いでの解決となったため、報酬はいただいておりません。
長く任意売却に携わっていると、このようなこともあります。
けれど、本田さんが喜んでくださったので、それだけで十分です。
今回のように、約2年という長期に渡って話し合いを行うケースもあれば、数日で決着をつける場合もあります。
ご相談者様の状況により様々ですが、住宅ローンの返済が少しでも苦しいと思った時には、できるだけ早く任意売却の専門家へ相談されることをお勧めします。