特別送達とは?裁判所から届く重要書類|無視できない理由と対処法

ある日突然、「特別送達」と書かれた郵便物が届いて驚いた――そのような経験はありませんか?
特別送達は、主に裁判所などから送られる法的に重要な通知です。無視してしまうと、大きな不利益につながる可能性があります。

この記事では、「特別送達とは何か?」という基本から、届いたときの正しい対処法、無視した場合に起こり得るリスクまで、初めての方にもわかりやすく解説します。

「怖い」「よくわからない」と感じている方も、この記事を読めば、落ち着いて冷静に対応できるはずです。

【執筆】

住宅ローン滞納・競売相談所
代表相談員|林 達治

東証一部上場の不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社での豊富な実務経験を活かし、「住宅ローン滞納・競売相談所」を開設。
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目次

特別送達とは?

「特別送達」とは何なのか、まずは基本的な仕組みと、どのような場面で使われるのかを見ていきましょう。

裁判所などが送る「重要書類」

特別送達とは、裁判所や法的機関が、確実に通知を届けるために使う特別な郵送方法です。
主に「民事訴訟」や「強制執行」など、法律に関わる重要な書類を送付する際に利用されます。

一般郵便との違い

一般郵便(普通郵便)はポスト投函で完了しますが、特別送達は配達員による手渡しが原則です。
また、郵便物の内容が法律に関わるため、より厳格な記録管理がなされます。

裁判所や法的機関から送られるということの意味

特別送達が使われるということは、それだけで「法的手続きが始まっている、あるいは進行中」であるという証拠です。
これは、単なる案内や広告とは異なり、放置することで裁判や競売が進行してしまう可能性があることを意味しています。

どのようなときに届くのか

特別送達で届く代表的な通知には、以下のようなものがあります。
それぞれ、法的手続きに直結する重要な意味をもっています。

  • 競売開始決定通知書
    債務不履行などにより、担保となっている不動産が競売にかけられることが決定した際に届く通知です。財産処分のスタート地点となります。
  • 訴状・支払督促
    相手から訴えられた場合、あるいは未払い金などに対して法的請求がなされた場合に届きます。無視すると欠席判決が下されることも。
  • 裁判所からの呼出状
    裁判や調停への出廷を求める通知です。指定された日時に出廷しないと不利な扱いを受ける可能性があります。
✅ 補足

📌 欠席判決ってなに?
欠席判決とは、裁判の当事者(特に被告)が指定された日に裁判に出廷せず、かつ、何の反論(答弁書の提出など)もしない場合に、原告側の主張が認められ言い分どおりに下される判決のこと。

特別送達の郵送方法と扱い

特別送達は、郵送方法にも特徴があります。
一般的な書留や簡易書留とは違うポイントも押さえておきましょう。

  • 簡易書留や書留との違い
    書留や簡易書留は、物品や重要書類の追跡・記録のための手段ですが、特別送達は法律で定められた通知手段として用いられます。受け取りには法的な意味合い(=効力の発生)があります。
  • 郵便局員が手渡しで届ける
    受取人に直接手渡しされ、サイン(署名または押印)を求められます。第三者(家族など)が代わりに受け取ることもありますが、その場合も記録に残されます。
  • 不在時は不在票→再配達
    受け取れなかった場合は不在票が入ります。一定期間内に再配達の手続きをしないと、届いたとみなされる(=擬制送達)ことがあるため注意が必要です。
✅ 補足

📌 擬制送達(ぎせいそうたつ)ってなに?
「擬制送達」は法律用語で、実際には相手に書類が届いていない場合でも、法的には「届いた」とみなす制度です。
たとえば、裁判所からの書類を届けようとしたけど、相手が受け取り拒否をしたり、長期不在や引っ越ししたのに住所変更していないといったケースでは、いつまでも裁判が始められません。その場合に裁判所は、一定の条件を満たせば「実際に書類が渡っていなくても、渡ったことにする」というルールを使い、裁判を進めます。

特別送達で届く主な書類の種類と内容

特別送達は、裁判所などの公的機関が発する「法的に重要な通知」を届けるための郵便方法です。
一般的な郵便と異なり、受取人に確実に手渡されることを前提としているため、到着した時点で「重要な内容が書かれている可能性が高い」と認識する必要があります。

ここでは、特別送達で届く主な書類の種類と、それぞれの概要について解説します。

裁判所からの通知書類一覧

特別送達で届く書類には、以下のような種類があります。

  • 訴状
    あなたに対して民事訴訟が提起されたことを知らせる書類です。被告としての対応が求められるため、放置すると「欠席判決」によって不利な結果になることがあります。
  • 支払督促
    お金の支払いを求める簡易な手続きで、裁判所を通じて相手方(債権者)から送られてきます。一定期間内に異議を申し立てないと、強制執行につながる恐れがあります。
  • 競売開始決定通知書
    住宅ローンなどの支払いが滞った場合に、自宅などの不動産が競売にかけられる決定がなされたことを知らせるものです。放置すれば資産を失う可能性があるため、早急な対応が必要です。
  • 調停期日通知書
    調停が申し立てられ、期日が指定されたことを知らせる書類です。出頭義務がある場合は、正当な理由なく欠席すると不利になる可能性があります。
  • 呼出状(期日呼出状)
    裁判や調停などに出席するよう裁判所から呼び出される書類です。無断で欠席すると、訴訟に不利に働くだけでなく、過料(罰金)を科される場合もあります。

届いた書類から読み取れる情報

特別送達の封筒を開封すると、多くの場合、以下のような情報が記載されています。

  • 裁判所の名称(例:〇〇地方裁判所)
  • 事件番号(文書を特定するための番号)
  • 当事者名(原告と被告、債権者と債務者など)
  • 期日や期限(出頭日、提出期限など)

これらの情報をもとに、何の目的で送られてきた書類なのか、そして自分が何を求められているのかを正確に把握することが大切です。

通知が届いたら、まず確認すべきポイント

特別送達が届いたら、次のような点をまず確認しましょう。

  • 差出人がどこか?
    →裁判所や法務局などの名称が記載されています。
  • 書類の名称は何か?
    → 「訴状」「支払督促」「競売開始決定通知書」など、それぞれ対応方法が異なります。
  • 記載されている期日・期限はいつか?
    → 対応が遅れると、重大な不利益につながる恐れがあります。

また、まれに「通知は来たけど対応しなくてもよい場合」もありますが、個人で判断するのは非常にリスクがあります。
基本的には「一度は専門家に相談」するのが安全策です。たとえ軽微なものであっても、放置が不利に働く可能性があるからです。

✅ 補足

📌 無視しても問題ない書類ってあるの?
一部の通知(例えば「調停の案内」など)は、強制力が弱いこともありますが、まったく無視してよいわけではありません。後に訴訟などに発展する可能性もあるため、必ず内容を精査し、慎重に判断しましょう。

特別送達を無視するとどうなる?

「とりあえず後にしよう…」と、届いた郵便物を開封せずに放置していませんか?
差出人が裁判所であったり、内容が難しそうに見えたりすると、つい確認を後回しにしたくなる気持ちもわかります。
しかし、特別送達は法的効力を持つ重要な通知であり、放置すると取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。
ここでは、特別送達を無視した場合に起こりうるリスクについて詳しく解説します。

法的効力は「届いた時点」で発生する

特別送達の郵便物は、実際に開封・確認しなくても、一定の条件を満たせば「届いた」と法律上みなされます。これを、「擬制送達」といいます。
たとえば、不在票を放置したり、受け取りを拒否した場合でも、「内容を知ることができた状態だった」と判断されれば、その時点で法的効力が発生します。
つまり、「受け取っていないから大丈夫」という考えは通用しません。開封しなかったとしても、手続きは進行してしまう可能性があるのです。

訴訟が一方的に進む可能性がある

特別送達によって訴状や支払督促が届いていた場合、それに対して何の対応もしなければ、裁判があなたの不在のまま進行してしまいます。
これはいわゆる「欠席裁判」であり、被告が何も反論しなければ、原告側の主張がそのまま認められてしまう可能性が高くなります。
その結果、敗訴や損害賠償命令などが一方的に下されるリスクがあります。気づいたときには、すでに判決が確定していた・・・というケースも、実際に少なくありません。

強制執行(財産差押え・競売)につながることも

特別送達で届く通知の中には、財産に直接影響する通知も含まれます。
たとえば、次のような通知です。

  • 支払督促
    裁判所から「支払い命令」が届き、2週間以内に異議を申し立てなければ、その内容が確定します。放置すると、給与や預金などの差し押さえ(強制執行)に進むおそれがあります。
  • 競売開始決定通知書
    自宅などの不動産が差し押えられ、競売の手続きが開始されたことを意味します。通知を無視していると、「気づいたら家が落札されていた」という最悪のケースにもなりかねません。
✅ 補足

📌 特別送達の放置は絶対にNG!
特別送達を無視すると、法的な手続きがあなたの知らないところで進んでしまうことがあります。「怖いから見ない」「忙しいから後回しにする」といった判断は、取り返しのつかない結果につながるおそれがありますので、絶対に放置せず、内容をすぐに確認して早めに対応しましょう!

特別送達が届いたときの正しい対処法

不安だからといって受け取りを拒否したり、開封せずに放置するのは非常に危険です。
特別送達が届いたら、落ち着いて以下のステップで対応しましょう。

  1. 内容を確認する(誰から、何の目的で届いたのか)
    まずは、差出人と通知の目的を確認しましょう。裁判所からの通知なのか、どのような手続きに関するものなのかを把握することが大切です。
  2. 対処方法を検討する(必要に応じて弁護士へ相談)
    内容によっては、早急に対応が必要な場合もあります。不安や疑問がある場合は、法律の専門家に相談することで、適切な対応が取れるようになります。
  3. 期限を守る(放置はリスク)
    通知には、答弁書の提出期限や異議申立ての期限などが設けられていることも多く、放置すれば不利益を被る可能性があります。必ず期限を確認し、遅れずに対応することが重要です。
✅ 補足

📌 「競売開始決定通知書」が届いたときは、任意売却の専門家にまずは相談!
「競売開始決定通知書」が届いた場合は、不動産が差し押えられ、競売手続きが始まる初期段階です。時間との勝負となるため、できるだけ早く状況を整理し、任意売却を専門に扱う不動産会社に相談しましょう。

まとめ|特別送達は「すぐ確認・すぐ対処」が鉄則

特別送達は、裁判所などから届く法的効力のある重要な通知です。
届いた場合は、「怖いから」「面倒だから」と無視せず、内容をしっかり確認し、早めに対応することが何より大切です。

とくに、競売に関する通知であれば、不動産が差し押さえられている可能性があり、時間との勝負になるケースもあります。状況を冷静に整理し、適切な対処を進めていきましょう。

対応に迷ったときや不安がある場合は、弁護士や司法書士、任意売却を専門に扱う不動産会社など、専門家への相談も視野に入れることをおすすめします。

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