離婚による不動産売却。離婚後の住宅ローンはどうなるの?

我が国においても、離婚はそれほど珍しい問題ではなくなりました。そう考えると、離婚率も年々高まっているように思われますが、実際には厚生労働省が取りまとめている『人口動態統計』から見る日本の離婚率推移によりますと、令和2年(2020年)の離婚率は1,000人に対して1.57と前年の1.69より低下しています。

現在の形式で統計を取り始めてから、平成14年(2002年)をピークとして以降、我が国における離婚数・離婚率はともに減少かつ低下傾向が続いているようです。しかしながら、そもそも婚姻率自体が低下しているため、統計数字だけをみて一概に判断はできないでしょう。

さて、実際に離婚問題の当事者となった場合、必ずといっていいほど、今住んでいる住宅の問題が関わってきます。

賃貸住宅にお住まいであれば退去して、お互いがそれぞれの道を歩んでいくことで、住宅に関しては比較的問題なく終焉を迎えることができるでしょうが、住宅を購入していた場合には「住宅ローン」という問題が夫婦の間に立ちはだかることになります。住宅ローンの残債は、財産分与※1の対象となるからです。

(※1)婚姻前の各々の財産や、婚姻後に親から相続した財産、各個人で購入した物などは対象外となります。

後々のトラブルの元にもなり得る住宅ローンについて、その問題を事前に回避するために、離婚によって家を売却したいとお考えの場合には、離婚後の住宅ローンについて事前に調べておくことは大切です。

本記事では、離婚によって家を売却する結論に至ったとき、残っている住宅ローンは一体どうなるのか、離婚後の住宅ローンの行方について説明いたします。

【執筆】

株式会社いちとり
代表取締役/代表相談員

林 達治

東証一部上場不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社を経て、日本全国の不動産を対象とした任意売却を専門に扱う株式会社いちとりを設立。

勇気を出して相談してくださったご相談者様に最後まで寄り添ってサポートすることを信条に、現在も会社代表を務めながら代表相談員として、住宅ローンの悩みを抱える方々の問題解決のために精力的に活動している。

長年培ってきた任意売却に関する豊富な知識と経験を活かして、個人・法人問わず、年間500件以上の相談を受けており信頼も篤い。

目次

離婚後の住宅ローン名義

住宅ローンに関しては、金融機関との契約となりますので、離婚によって現在の住宅ローン名義が変わるということはありません。夫(もしくは妻)一人の名義であれば、離婚後もその人が返済義務を負うこととなり、夫婦の共有名義で住宅ローンを契約したのであれば、離婚後も二人で返済を続けていくことになります。

また仮に、住宅ローンを夫の名義で借りて妻が連帯保証人になっている場合は、離婚後に元夫が家を出た場合でも、元妻はそのまま連帯保証人としての責任を負うことになります。家を出て行った元夫が、その後、自分は住んでいないからといって住宅ローンの返済を行わなくなった場合、金融機関からは連帯保証人である元妻宛に返済の請求がくるようになります。

そのような状況で、請求された元妻もその督促を無視して支払わずにいると、最終的に元妻が住んでいる家は競売を申立てられ、強制的に売却されることになってしまします。そこから自己破産に繋がるケースもあります。

住宅ローントラブル回避の注意点

離婚による住宅ローントラブルの話は意外とよく耳にします。夫婦間でトラブルを招かないようにするために、離婚による財産分与で不動産を取得するような場合は、まず当該不動産の所有者、登記名義人、住宅ローンの名義人、連帯保証人といった契約内容を確認しましょう。

次に、取得した際にその不動産をどうするのか、あるいはどうしたいのか、将来設計を含めて夫婦間で協議が必要です。また、後々の言った・言わないといったトラブルを回避するために、離婚協議書や公正証書などの書面を用いて夫婦間の取り決めを作成しておくという方法もお薦めです。

また、不動産所有者と住宅ローン名義が不動産取得者ご自身であれば、そのまま住み続けるのか、今後も住宅ローンを払い続けていけるのか、ご自身の収入や生活状況と照らし合わせて考えてみる必要もあります。

離婚によって不動産を売却する場合

離婚後は今の家に住みたくない、住宅ローンの返済が今まで通りにはできないというケースはよくあります。そのような場合には、所有不動産の売却を検討することになります。

不動産売却となると、まずはその時点での住宅の価格査定が必要になるでしょう。そして、売却査定額が住宅ローンの残債よりも高くなるのであれば、通常の売却活動によって売却が可能です。住宅を売却して住宅ローンの残っている債務を完済することができるからです。

しかし、査定額が低く、売却したとしても住宅ローンがまだ残るようであれば、通常の売却活動では不動産を売却することができませんので「任意売却」を検討するなど、状況によって取るべき行動が変わってきます。

人それぞれ置かれている状況は異なり、対応もケースバイケースとなりますので、離婚によって不動産を処分したいと考えている方は、まずは任意売却を専門に扱う不動産会社にご相談ください。

任意売却による不動産売却

任意売却は、不動産を売却しても住宅ローンが残ってしまい、債務を完済することができない場合に利用することができる手続きとなります。

住宅ローンの清算ができないとなると、お金を貸した側の債権者(金融機関など)が売却を許可しません。そのような債権者と話し合いを行い、債務が残ってしまう状態でも不動産の売却を可能にする手続きが「任意売却」です。

任意売却は、債権者を含めた関係者全員と詳細に話しを詰めていくことから始めます。各関係者の希望や要望を調整しながら手続きを進めていくため、依頼を受けた会社、さらには担当者レベルでも任意売却に関する知識や経験、実績が必要になります。そのため、任意売却の相談や依頼をされる場合には、任意売却を専門に扱う不動産会社がベストといえます。また、離婚という状況下では、様々な悩みや問題が発生します。住宅ローンや自宅の売却などに関することは、早めに相談することで解決に向けての選択肢も広がります。

株式会社いちとりは、任意売却を専門に扱う不動産会社です。住宅ローンに対するお悩みや任意売却のご相談など、不動産に関する相談を無料でお受けしております。是非一度、お問い合わせください。

 

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