自己破産で連帯保証人はどうなる?債務整理や任意売却などの対応策を徹底比較

債務を返済することが出来ずに自己破産を検討している場合、連帯保証人への影響を考える方も多いでしょう。
連帯保証人と保証人では受ける影響が異なります。

自己破産による連帯保証人と保証人への影響を理解し、状況に合った債務整理や任意売却を選ぶことが大切です。
ここでは連帯保証人と保証人の違いや、連帯保証人・保証人に迷惑を掛けないようにするための対応策を紹介します。

目次

保証人と連帯保証人の違いについて

保証人と連帯保証人は、借金をした債務者の身元や債務を保証する人を指します。

どちらも債務者が債務を返済出来なくなれば、債務者の代わりに返済をする義務が生じます。しかし、保証人と連帯保証人では、与えられる権利や利益に違いがあるのです。

保証人は権利や利益を行使することで一定のリスクを避けることができますが、連帯保証人には保証人のような利益や権利が認められないため責任が重くなると言えます。
保証人に認められる権利や利益は次の3つが挙げられます。

分別の利益

「分別の利益」とは、保証人が複数人いる場合に人数分で債務を分割することを言います。

主債務者が返済できなくなった債務は保証人が代わりに返済を行わなければなりませんが、保証人が複数人いれば人数分で分割した分のみを支払うことを主張できます。

例えば、300万円の債務だった場合に3人の保証人がいれば、分別の利益によって100万円の負担に抑えることができます。
しかし、連帯保証人には分別の利益が認められないため、一人で債務の全額を背負うことになります。

催告の抗弁権

「催告の抗弁権」とは、債務不履行が発生した場合に、保証人よりも先に主債務者に対して請求することを債権者に対して求めることができる権利です。

この権利により保証人は債権者から請求されたとしても、まずは主債務者に対して債権者が請求を行い、支払えないという確認が取れてから保証人に請求するという段階を踏むことになります。

一方で、連帯保証人には催告の抗弁権が認められていません。
そのため、債権者が主債務者に請求を行わずに連帯保証人に請求してきたとしても、先に主債務者に請求するように主張することが出来ません。

検索の抗弁権

「検索の抗弁権」とは、主債務者に返済能力があるにも関わらず、返済を拒んで保証人に請求がきた場合に主張できる権利です。

主債務者に強制執行ができる財産がある場合、検索の抗弁権を主張することで主債務者に返済もしくは財産を差し押さえる強制執行を求めることができます。

しかし、連帯保証人には検索の抗弁権が認められていません。
そのため、主債務者が財産を所有していながら返済を拒否しているような場合でも、主債務者に返済や強制執行を求めるように主張できず、連帯保証人が返済を行わなければならないことになります。

自己破産した場合、連帯保証人はどうなる?

主債務者が自己破産した場合、手続きをした主債務者は債務の返済が免除されます。

しかし、自己破産は債務自体が消滅する手続きではなく、連帯保証人への義務は免除されません。
そのため、主債務者に返済請求ができなくなった債権者は、連帯保証人に債務の残額を請求することになるのです。

しかも、本来であれば主債務者と債権者には「期限の利益」により債務を分割で支払うことができますが、自己破産手続により期限の利益は失われます。そうすると、連帯保証人は残額を一括請求されることになります。

また、自己破産では「求償権」も免除されてしまいます。
求償権とは保証人と連帯保証人が持つ権利で、主債務者の代わりに支払った債務の返済を主債務者に求めることができる権利です。しかし、自己破産をすれば債務返済だけではなく求償権も免除されるため、連帯保証人は主債務者に代わって返済した分の返済を求めることが出来なくなります。

自分が連帯保証人だった場合、自己破産されたらどうする?

自分が連帯保証人になっている債務があり、主債務者が自己破産手続きをしてしまった場合にはどのように対応すべきなのかと悩むようなケースもあるでしょう。

保証人であれば「分別の利益」や「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」などの権利や利益を行使することができますが、連帯保証人はこれらの権利を使うことが出来ません。

そのため、主債務者が自己破産手続きをすれば、主債務者の残債が連帯保証人に対して一括請求されることになります。
そして、請求された債務を返済できる金銭がない場合には、財産の処分による返済が求められます。返済しなければ強制執行で財産を差し押さえられる可能性もあり、持ち家は競売になる恐れがあります。

もし主債務者が自己破産をしてしまい、連帯保証人として残債の返済が困難な場合には、連帯保証人も債務整理することを検討しなければならないでしょう。

保証人・連帯保証人に迷惑をかけない対応策について

自己破産をすれば保証人・連帯保証人には多大な迷惑がかかることになります。
身内が保証人や連帯保証人になるケースが多いですが、家族が保証人や連帯保証人の場合も同様に主債務者が債務を返済できなれければ代わりに返済義務を負うことになります。

保証人や連帯保証人が誰であったとしても自己破産をすれば迷惑をかけることになるため、手続きを進める前に他の債務整理方法や任意売却について検討する必要があります。

保証人・連帯保証人に迷惑をかけないようにするための対策には、次の方法が挙げられます。

住宅ローンの支払いが滞っている場合は、任意売却

住宅ローンの支払いが滞っている場合には、自己破産ではなく任意売却という手段を選ぶこともできます。

任意売却とは、売却しても住宅ローンが残ってしまう不動産を、借入先の金融機関の合意を得て売却する方法です。

住宅ローンが支払えずに延滞を続けたり、自己破産をすれば、自宅は競売にかけられて売却されることになります。
しかし、任意売却すれば市場価格で売却されるため、競売よりも高い価格で売却できるというメリットがあります。
しかも、売却してローンの残債が生じたとしても任意売却であれば分割返済が可能です。

他の消費者金融などから借り入れがある場合でも、まずは任意売却で住宅ローンの問題を解決してから他の債務をどのように解決するのか決めることも可能です。慌てて自己破産手続きを行うのではなく、マイホームがある場合には任意売却について検討をしてみましょう。

キャッシングやリボ払いなど担保財産がない場合は債務整理

住宅や車は購入した物を担保として扱いローンを組みます。
しかし、キャッシングやリボ払いなどは担保がなく、その代わりに利子が発生します。

こうした担保財産のない債務の返済が滞っている場合には、債務整理を検討することになるでしょう。

ただし、債務整理には自己破産だけではなく任意整理や民事再生といった方法もあります。
保証人や連帯保証人への影響や、債務の状況などを考慮し、適切な債務整理方法を選ぶようにすることが大切です。

任意整理

任意整理は、保証人や連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理することができる可能性が最も高い方法です。

任意整理は、債権者と交渉することで将来利息をカットして元金のみを返済することや、月々の返済額を減らすなど、債務者の負担を軽くするための手続きです。
裁判所を通さずに弁護士など専門家に依頼して行う手続きなので、整理したい債務を選ぶことができます。
つまり、保証人や連帯保証人のある債務を避けて債務整理することができるのです。そのため、保証人や連帯保証人に迷惑をかけることなく、債務負担を軽減することが期待できます。

しかし、任意整理は民事再生や自己破産に比べると、債務の減額幅が小さいというデメリットがあります。
そのため、元金のみであれば返済できる見通しがあるような場合や、債務額が多額ではない人などが任意整理に向いていると言えるでしょう。

民事再生

民事再生手続きは、裁判手続きの基で大幅に減額された債務を返済していく手続きです。

住宅ローンを除く債務総額が5,000万円を超えた場合は民事再生となり、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下の場合は個人再生として手続きを行います。

民事再生手続きは任意整理とは異なり、借金の元金を大幅に減額できるというメリットがあります。
そして、減額された借金を原則3年の間に債権者へ支払っていくことになります。

ただし、民事再生は任意整理のように整理する債務を選ぶことは出来ません。
そのため、民事再生手続きを行えば、保証人や連帯保証人に対して債権者から主債務者の債務を一括請求されることになってしまいます。

自己破産

自己破産手続も民事再生と同様に裁判によって行われる手続きですが、借金の減額に違いがあります。

自己破産では債務が全額免除されることになり、主債務者は手続きが終了すれば債務の返済義務が無くなります。
しかし、自己破産でも民事再生と同様に整理したい債務を選ぶことができないため、保証人や連帯保証人がいる債務も対象になってしまいます。

そのため、自己破産手続きをすれば主債務者は借金から解放されますが、保証人や連帯保証人は主債務者に変わって残債を一括請求されることになります。

住宅ローンの支払いに困っている場合は、まずは任意売却を検討ください

借金の返済に困ってしまった場合、自己破産手続きを考える方も多いでしょう。
しかし、債務問題を解決する方法は自己破産だけではなく他の債務整理方法もあれば、任意売却という手段もあります。

住宅ローンの支払いに困っているという場合には、まずは任意売却を検討してみてください。

住宅ローンの支払いが解決出来れば、保証人や連帯保証人に迷惑をかけることなく債務問題を解決出来るかもしれません。

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