競売開始決定後、執行官が来たら何が起きる?流れと正しい対応を解説

住宅ローンやマンション管理費・修繕積立金、税金などの支払いが滞ると、最終的には自宅が差し押さえられ、競売手続きへと進む可能性があります。

競売の手続きが開始されると、裁判所から「執行官」が自宅を訪ねてきます。
この執行官の訪問に「いったい何が起きるのだろう…」と不安を感じる方も少なくないでしょう。

しかし、裁判所の執行官には明確な役割があり、競売手続きの中で重要な業務を担っています。

この記事では、

  • 執行官とはどのような人なのか
  • 競売開始決定後に何が起こるのか
  • 入札が始まる前にできる対策

について、わかりやすく解説します。
住宅ローンや管理費・修繕積立金、税金などの支払いに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

【執筆】

住宅ローン滞納・競売相談所
代表相談員|林 達治

東証一部上場の不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社での豊富な実務経験を活かし、「住宅ローン滞納・競売相談所」を開設。
代表相談員として、住宅ローンの滞納や競売に関する高度な専門知識をもとに、信頼性の高いサポートが全国のご相談者様に喜ばれている。

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目次

執行官とは?裁判所の強制執行手続きを進める担当者

執行官とは、裁判所に所属する職員で、裁判所の命令に基づき、強制執行の手続きを行う役割を担っています。

住宅ローンや税金などの滞納が続くと、債権者は裁判所へ競売の申立てを行うことがあります。
裁判所が競売開始を決定すると、その手続きの現場を担当するのが執行官です。

執行官は、物件の状況を確認するための調査や現地確認などを行い、競売手続きを適切に進めるための重要な存在です。

競売までのタイムスケジュール

住宅ローンなどの滞納が始まってから、実際に競売の入札が開始されるまでには、いくつかの手続きが段階的に進んでいきます。
執行官がどのタイミングで不動産の調査に訪れるのかという点にも注目しながら、全体の流れを確認してみましょう。

滞納から競売までの主な流れは次のとおりです。

  1. 滞納が始まる
  2. (債権者から)督促状・催告書などが届く
  3. 期限の利益喪失(ローンの分割返済ができなくなり、一括返済を求められる)
  4. 代位弁済(保証会社が金融機関へ残債を一括弁済し、返済先が保証会社へ移る)
  5. 競売開始決定(裁判所が競売開始を決定)
  6. 執行官による現地調査(裁判所の命令に基づき実施)
  7. 期間入札の通知(債務者へ入札スケジュールが通知される)
  8. 公示(競売情報が一般公開される)
  9. 期間入札の開始
  10. 開札・落札・引渡し

競売開始が決定すると、執行官は対象となる不動産の状況を確認するため、現地調査を行います。
その後は入札に向けて手続きが進み、何かしらの対策を取らない限り、競売は自動的に進行していくことになります。

執行官の仕事とは?

競売開始が決定すると、裁判所の執行官が自宅を訪ねてきます。執行官は、競売手続きを円滑に進めるために、現地でさまざまな業務を行います。

ここでは、執行官の主な仕事内容をわかりやすく説明します。

不動産の現地調査

まず、執行官は競売対象となる不動産の状況を現地で確認します。
建物の老朽化具合や周辺環境、居住状況などを調査し、競売資料として正確に記録します。

例えば、建物の損傷や設備の状態、庭や駐車場の状況なども確認の対象です。
この調査結果は、入札者に正確な情報を提供するためにとても重要です。

写真撮影や資料作成

次に、物件の写真撮影や資料作成を行います。
建物の外観だけでなく内部の状況も撮影し、後に裁判所が作成する「物件明細書」などに反映されます。

これにより、入札に参加する方々が物件の状態を正確に把握できるようになっています。
これらの写真や資料は、競売手続きの透明性を確保するためにも欠かせません。

居住者への確認

執行官は、物件に誰が住んでいるかも確認します。
所有者本人が居住しているのか、賃貸中なのか、それとも空き家なのかなど、実際の居住状況を調査します。

この情報は、入札者に正しい条件を伝えるためだけでなく、競売手続きを進める上でも必要なものです。

競売手続きの進行

これらの現地調査や資料作成をもとに、裁判所は競売の入札手続きを進めます。
入札が行われ、落札者が決定すると、最終的には所有権が移転されます。

つまり、執行官が自宅に訪問する段階では、すでに競売手続きが本格的に進んでいる状態だということです。
訪問のタイミングで、「まだ間に合うのか」と不安になる方も多いですが、この段階でできる対策については後ほど解説します。

執行官が来たら手遅れか?

執行官が訪問する段階になると、「もうどうすることもできないのでは…」と不安になる方も少なくありません。
しかし、実際にはまだ解決の可能性が残っているケースも多くあります。

競売手続きには、実際に入札が行われるまで一定の期間があります。その間に、状況に応じた対策を講じることが可能です。
その代表的な方法が、「任意売却」です。

任意売却とは、金融機関などの債権者と話し合いを行い、競売ではなく通常の不動産売却として物件を売却する方法です。
競売よりも市場価格に近い価格で売却できる可能性が高く、売却後に残った債務の整理もしやすくなる場合があります。また状況に応じて、引っ越し代や引き渡しの準備期間を確保できる場合もあります。

そのため、競売の通知が届いてしまったり、執行官の訪問が予定されている段階でも、まずは専門家に一度相談してみてください。
できるだけ早く行動することが、競売回避につながる重要なポイントとなります。

自宅に執行官がやってきた!現地調査の実例

住宅ローンや管理費・修繕積立金、税金の滞納によって競売の危機に直面した方の実例を紹介します。
実際に執行官が訪問した現場の様子を知ることで、どのように調査が進められるのかイメージしやすくなります。

【ケース1】そんなところまで…

会社員のAさんは、住宅ローンに加えてマンションの管理費や修繕積立金の負担も重くなり、数ヶ月分の滞納が続いていました。

ある日、ポストに裁判所からの通知が届き、そこには「競売開始決定」の文字が。

「まさか本当に競売になるなんて…」
と動揺するAさん。どうしてよいか分からず、そのまま数週間が過ぎてしまいました。

するとある日、自宅のインターホンが鳴ります。
玄関に立っていたのは、裁判所の執行官と業者らしき人物です。

「競売手続きのための現地調査です」
そう説明され、建物の状況を確認させてほしいと言われました。

外観の確認だけかと思っていたAさんに、執行官は建物内の状況や部屋数、設備などについても細かく質問します。
さらに建物の外観や室内の写真を撮影し、周辺環境についても確認してきました。

「そんなところまで調べるんですか?」
思わず尋ねるAさんに、執行官は落ち着いた様子で答えました。

「競売に参加する方が物件の状況を判断するための資料になります」

Aさんはこのとき、競売が本当に現実のものになっていることを強く実感したそうです。
その後、Aさんは任意売却の相談を行い、入札が始まる前に売却手続きを進めることができました。

「もっと早く相談していれば、ここまで不安にならずに済んだかもしれません」
と、Aさんは振り返っています。

【ケース2】留守にしていたら…

Bさんは住宅ローンの返済が厳しく、金融機関からの督促が続いていました。
ある日、裁判所から競売開始決定通知書が届き、書類には、「執行官による物件調査を〇月〇日に行います」と記載されていました。

「執行官が家に来るなんて…」
不安から、Bさんは調査の日は自宅を不在にしようと考えました。
留守にしていれば、調査はできないと思ったのです。

しかし、調査予定日にBさんが留守にしていたにも関わらず、ポストに裁判所からの調査報告書が届きました。
書類には、執行官が当日自宅を訪問し、物件調査を実施したことが記載されています。

Bさんは衝撃を受けます。

実は、競売手続きにおける不動産調査は、所有者が不在でも行われることがあります。
執行官は必要に応じて鍵業者を同行させ、玄関の鍵を開けて室内の状況を確認する場合もあるのです。
室内の設備や部屋の状況を確認し、写真撮影も行いますが、この調査はむやみに立ち入るわけではなく、あくまで裁判所の命令に基づいて行われています。

Bさんはこの経験から、「留守にしても状況は止まらない」と痛感。
調査報告書には今後の競売スケジュールも記載されており、このまま進めば入札が行われ、第三者に自宅が落札される可能性があることを知り、大きなショックを受けました。

慌てて競売回避についてインターネットで調べ、「任意売却」という方法があることを知ります。
すぐに専門家へ相談し、金融機関との交渉を進めた結果、入札前に任意売却で売却することができました。

「逃げていても状況は変わらないと分かりました。もっと早く相談すればよかったです」
と、Bさんは振り返っています。


補足:執行官は留守でも家に入ってくるの?

「執行官が来る日が分かっているなら、その日は留守にすれば大丈夫では?」
そう考える方もいますが、実際には留守でも物件調査は行われる可能性があります。

競売手続きでは、裁判所が対象不動産の状況を正確に把握する必要があるためです。
必要と判断されれば鍵業者を同行させ、玄関の鍵を開けて室内を確認し、写真撮影を行うこともあります。
「まだ何とかなるかもしれない」と調査を避けても、状況は止まりません。
期間入札に向けて競売手続きは着々と進むため、解決の選択肢が徐々に少なくなっていきます。

執行官の訪問が予定されている方は、一人で悩まず早めに専門家へ相談し、任意売却などの解決方法を検討することをおすすめします。

執行官の現地調査は断れるのか

執行官による現地調査は、基本的に断ることはできません。
裁判所の執行官(強制執行官)が行う現地調査は、法律で定められた手続きの一部だからです。

執行官は裁判所の権限に基づく公務員です。
家宅捜索のような強制力はありませんが、以下の点に注意が必要です。

  • 応じない場合でも、法的手段により立ち入りが可能
  • 訪問拒否や隠ぺいは、競売手続きに不利に働くことが多い

つまり、法律上は拒否できる場合もありますが、実務上は応接することが安全で確実です。

競売開始決定後に裁判所から現地調査の通知が届いた場合は、在宅して落ち着いて応対することが望ましいでしょう。
なお、調査の日時変更については柔軟に対応してもらえる場合もありますので、通知書に記載の連絡先へ問い合わせてみてください。

任意売却で競売を回避する

執行官による調査が行われる段階では、競売手続きはすでに進行しています。
しかし、必ずしもすぐに自宅が競売で売却されるわけではありません。
残された時間は限られていますが、諦めずに行動することが大切です。

競売の入札が始まる前であれば、「任意売却」という方法で解決できる可能性があります。
任意売却では、競売よりも残債を圧縮できる可能性が高いため、生活再建もスムーズに進めやすくなります。

任意売却の相談方法

任意売却では、金融機関や管理組合など、すべての債権者との交渉が必要になるため、専門的な知識や経験が求められます。
そのため、任意売却を検討する場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。

相談の際には、次のような情報を整理しておくとスムーズです。

  • 住宅ローンの残高
  • 滞納している期間
  • 管理費や修繕積立金の滞納状況
  • 税金の滞納状況
  • 自宅の所在地や物件の情報

これらの情報をもとに、現在の状況に合わせた最適な解決方法を検討することができます。
入札が始まる前であれば、任意売却によって競売を回避できる可能性も十分あります。

不安な状況にある場合は、一人で抱え込まず、まずは専門家に相談してみましょう。

まとめ|執行官が来たら早めの対応を

執行官が訪問する段階は、競売手続きが進んでいる状態ではありますが、必ずしもすべてが手遅れというわけではありません。

競売に進む前に適切な対策を取ることで、任意売却などの方法で解決できる可能性があります。

例えば、次のような状況にある方は特に注意が必要です。

  • 住宅ローンの返済が厳しい
  • 管理費や修繕積立金を滞納している
  • 税金が払えない

このような場合、現在の状況を整理するために、専門家への無料相談を活用する方法があります。
一人では難しいことでも専門家のアドバイスを受けることで、次に何をすべきか見えてくることがあります。

状況によっては、競売を回避し、生活を立て直すための方法が見つかる可能性もあります。
不安を抱え込まず、まずは勇気をもって相談への第一歩を踏み出してみてください。

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現在の状況を整理することで、今できる対策が見えてくることもあります。

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