競売になると借金が多く残る上に競売費用も上乗せされます!
住宅ローンが払えなくなり、滞納したまま何もしないでいると、借入をしている金融機関から競売を申立てられます。
競売になると一般的には市場相場より安価で落札されるのが常で、そうなると当然に市場相場に近い価格で売却するより借金(債務)が多く残ります。
債務者は、所有不動産が無くなってしまうだけでなく、その先も残った借金の返済を続けていかなくてはなりません。
しかし、この残った借金。住宅ローンの残金だけではない!ということを、皆さんご存じですか?
知らなかった!残った借金に含まれる意外なものとは?
まず、競売は申立てをするのに費用(競売申立費用)が掛かります。
そして、この競売申立費用。最終的に支払わなければならないのは、債務者(競売を申立てられた人)です。
意外と知られていないことですが、この競売申立費用は残った借金(債務)に上乗せされ、債務者は更に金額が膨らんだ借金を返済していくことになります。
では、競売申立費用とは一体どのような費用なのでしょうか。
不動産競売における競売申立費用の中身(東京地方裁判所本庁の場合)
東京地方裁判所本庁の場合を例にとってご説明します。
競売申立費用は、管轄の裁判所によって異なる場合がありますので、詳細につきましては管轄となる裁判所にご確認ください。
不動産競売における競売申立費用の中身は、概ね以下のとおりです。
予納金
■ 請求債権額が、2,000万円未満の場合:80万円(但し、令和2年3月31日以前に受理された申立については60万円)
■ 請求債権額が、2,000万円以上5,000万円未満の場合:100万円
■ 請求債権額が、5,000万円以上1億円未満の場合:150万円
■ 請求債権額が、1億円以上の場合:200万円
申立手数料
■ 担保権実行による競売(ケ事件)の場合:担保権1個につき4,000円
■ 強制競売(ヌ事件)の場合:請求債権1個につき4,000円
■ 形式的競売(ケ事件)の場合:4,000円
形式的競売とは、民法や商法等の規定に基づく、請求権の実現を目的とせず、財産の換価それ自体を主たる目的とする手続きのこと。例として、共有物分割のための競売、遺産分割のための競売などがある。
郵便切手等
これは、「保管金提出書」用紙等の送付用など、裁判所から申立債権者宛てに郵送物がある場合の郵送物に添付する切手代のこと。すべて実費となります。
差押登記のための登録免許税
差押登記を行うための登記費用です。納付額は確定請求債権額の1000分の4。
確定請求債権額の1000円未満を切り捨て、これに1000分の4を乗じて100円未満を切り捨てる。
算出額が1000円未満のときは、1000円とみなす。
確定請求債権額が根抵当権極度額を上回っているときは、極度額を確定請求債権額として算出する。
請求債権のない申立ては、物件の評価額から算出する。
以上。
東京地裁本庁に競売申立てを行う場合には、申立債権者は上記の競売申立費用を事前に裁判所に納めなければなりません。
競売申立費用算出例
例えば、担保権が1個で請求債権額が2,000万円の担保権実行による不動産競売を申立てる場合、事前に納める競売申立費用は、
- 予納金:100万円
- 申立手数料:4千円
- 差押登記の登録免許税:8万円
- 郵便切手等:実費
となり、おおよそ108万5,000円近くの費用が債務者の残った借金(債務)に上乗せされる計算になります。
ただでさえ借金の残っている債務者にとって、更に100万円以上も返済額が増えるというのは、かなり厳しいものとなるのではないでしょうか。
そして、当たり前ですが、請求債権額が多ければ多いほど、担保権の数が多ければ多いほど、競売申立費用は膨らんでいきますので、競売を極力避けたほうが良いのは一目瞭然です。
競売を申立てられても、任意売却などで競売の取下げを行った場合、予納金は返却されます。
また、競売の取下げが早ければ早いほど、経費の使用は少なくて済みます。債務に上乗せされる額も少なくて済みますので、早めに取下げる対策を講じた方が良いでしょう。
競売を申立てられても、任意売却などで競売の取下げを行った場合、予納金は返却されます。
競売取下げには任意売却が有効
競売を取下げる手段のひとつに任意売却があります。
任意売却は、競売申立をされている状況でも行うことができます。借金(債務)が残っていても債権者の合意さえ得られれば、所有不動産を売却することが可能になります。
任意売却では、競売よりも高く、市場相場に近い価格で不動産売却ができますので、債務の圧縮が可能になるだけでなく、残った債務についても債権者との話し合いによって月々支払える範囲で分割払いができるようになります。競売取下げには、非常に有効な手段です。
競売を申立てられている方は、諦めずに任意売却の専門家にご相談ください!