自己破産した後はどうなるのか?自己破産が及ぼす影響などを確認

借金が増え返済ができなくなったときに、「自己破産しなければならないかも」と悩まれることはありませんか。
その原因のひとつに、「自己破産」という言葉の響きが重く、実際に自己破産をした後にどのような生活になるのか分からないということが挙げられます。

今回のコラムでは、「自己破産した後はどうなるのか」・「自己破産によってどのような影響があるのか」ということについてお伝えいたします。

自己破産とは?

自己破産とは、債務整理の方法のひとつです。裁判所に申立てを行い、破産法に基づいて借金を免責してもらう手続きをいいます。

債務整理には自己破産の他に、元金のみの分割返済にしてもらう「任意整理」と、元金を減額してもらって分割返済をする「個人再生」があります。

自己破産は、任意整理や個人再生の手続きとは異なり、借金を免除してもらうという大きな特徴を持っています。
言葉の響きが重く敬遠されがちですが、債務整理の中でも最も強力な手段です。

自己破産した本人に起こる影響

自己破産は、借金が免責されるという債務整理の手段であるため、本人が一定の影響を受けることは避けられません。
では、どのような影響があるのでしょうか。

住宅などの価値ある財産を失う

自己破産をすると、住宅のような価値のある所有財産は失うことになります。では、流れを見てみましょう。

担保権を行使される

債務に担保がついている場合には、債権者が担保権を行使します。
担保権の行使によって、担保となっているものが競売などにより売却され、所有権を失います。

担保権行使の代表的なものが住宅ローンです。
住宅ローン契約によって購入した不動産には、大抵、「抵当権」という担保権がついています。自己破産によって住宅ローンが支払われない場合には、債権者は抵当権を行使し、競売を実行します。

住宅ローンの他にも、クレジットカードで貴金属やブランド品を分割で購入した場合や、自動車ローンなども一般的には担保権がついている契約となっています。

換価されて債権者に配当される

破産手続きで借金を免責してもらうには、まず所有している資産をお金に換え(換価)、債権者に返済(配当)するところから始まります。(基準としては20万円以上のもの)

自動車ローンの返済が終わり、自動車が資産として手元にある場合には、その自動車も換価して債権者に配当される可能性があります。但し、生活に必要なものについては本人が持っておくことができます。

信用情報機関に登録される(ブラックリストに載る)

債務整理をすると、信用情報機関(世間一般でいう「ブラックリスト」)に登録されます。
自己破産の場合には、以後7年~10年は信用情報を使った借入れをすることができなくなります。貸金業者からの借入れや、クレジットカードの新規作成や更新、携帯電話・スマートフォンの分割購入などもできなくなります。

しかし、資金を貯めて一括購入で対応したり、クレジットカードはデビットカードで代用するなど、代替手段はありますので、ブラックリストに載ることで生活ができなくなることはありません。
尚、ブラックリスト登録によって受ける影響は本人のみで、家族や配偶者などには及びませんのでご安心ください。

官報に公告される

自己破産をすると、官報で公告する必要があります。
官報という国が発行している新聞のようなものに、氏名・住所・自己破産をした旨などが掲載されます。
自己破産の事実が公にされてしまいますが、官報を好んで見ている人はそれほどいませんので、あまり不安に思うことはありません。

職業の制限を受ける

自己破産の手続きが開始されると、登録を要する資格が必要な職業に就くことが制限されます。職業の制限だけでなく、取締役や後見人など一定の資格を得ることもできなくなる点も覚えておいてください。

このように制限されることを「欠格事由」と呼んでおり、弁護士や公認会計士・税理士、宅地建物取引士などのほかに、警備員・保険募集人など、職務として他者の資産や財産を預かる可能性がある職業に設定されることが多いです。

職業の制限は、自己破産の手続きが終わり「復権」することによってなくなります。また、本人以外の配偶者や子供が職業の制限を受けることはありませんので安心してください。

郵便物の受取り制限を受ける

自己破産により破産管財人が選任されている場合、破産者宛の郵便物は管財人に郵送されます。管財人がすべて中身を確認し、本人の元に送られてきます。
基本的には本人名義のものだけですが、本人と配偶者連名で送られてきたような場合には、家族の名義が含まれている場合でも管財人に中を確認されますので注意しましょう。

住所の制限を受ける

破産手続きをしている間は、裁判官や管財人からの質問などに対し、きちんと応じられる状況を確保するために、本人の住所に制限を加えます。
引っ越しをする場合はもちろん、数泊の旅行(出張も含む)の場合でも移動を制限されることになります。どうしても移動が必要な場合には、裁判所の許可が必要です。

選挙権・公民権への影響

自己破産について心配している人の中には、選挙権や公民権がなくなると思われている方もいます。
選挙権とは「公職にある議員を選ぶ場合に選挙に参加する権利」で、公民権とは「一般的に選挙権および立候補する権利」をいいます。選挙権・公民権を制限する破産法の規定はありませんので、自己破産によって権利がなくなることはありません。

家族カードへの影響

個人信用情報機関に自己破産の登録がされると、本人のクレジットカードが使えなくなることは先ほどお伝えしました。
クレジットカードの中には家族カードというものがあります。夫の名義で作成したカードを妻や子供が利用するような場合です。
この場合、夫が自己破産をすると、家族も家族カードが使えなくなります。しかし逆に、妻や子供が自己破産をしても、家族カードは夫の与信で発行されているので利用することは可能です。

現在の住宅への影響

では、現在住んでいる家はどうなるのでしょうか。

賃貸の場合

自己破産をしても、賃貸物件の場合は、基本的にはそのまま住み続けることが可能です。
但し、家賃を滞納したような場合は、家賃も破産手続きの対象になりますので、家を退去させられる可能性があります。
また、収入に対して不相応な賃貸物件に居住している場合には、管財人が賃貸借契約を解除するように指示することがあります。

持ち家の場合

持ち家の場合は、住宅ローンが残っていたり、住宅ローン完済後に住宅を担保に借入れをしたような場合には、競売にかけられます。
住宅ローンや、その他のローンがない場合には、資産として換価の対象となります。いずれにしても自宅を所有し続けることはできません。

破産者本人以外に起こる影響

自己破産した本人以外に起こる影響について確認しましょう。

連帯保証人がいる場合

連帯保証人がいる場合には、連帯保証人が支払いをする義務を負うことになります。
これは、連帯保証人は債権者に対して、連帯保証契約を結んだときに独立して支払う義務を設定しているからです。連帯保証債務は、あくまで連帯保証人本人が認めた債務として履行することになります。

破産者の代わりに支払いをした連帯保証人は、破産者本人に対して求償権という権利を取得して請求できるようになりますが、この金銭は自己破産手続きで免責されます。
自己破産手続きが終わってから返済することは自由ですが、手続き期間中に返済を始めると偏波弁済として、最悪のケースでは免責がされなくなるので注意をしましょう。

配偶者や子供がいる場合

配偶者や子供がいる場合でも、法的には全く影響がありません。
しかし、例えば子供が大学に進学する際、ブラックリストに載っている間は奨学金の保証人になれないなど、事実上の影響はあります。また、自動車ローンが組めないなどで、配偶者に自己破産したことがバレてしまうこともあります。

自己破産後の生活への影響

破産手続き後の生活への影響はどうでしょうか。

ブラックリストに掲載されている状態のとき

ブラックリストに掲載されている間は、信用情報を利用する取引ができません。
最も影響を受けると思われるのが、クレジットカードの作成、スマートフォンの分割購入になりますので、代替のデビットカードを利用したり、スマートフォンは一括で購入する・壊れた時には中古で安いものを購入するといった工夫をして乗り切りましょう。

ブラックリストから消えた後

ブラックリストから消えた後は、「信用情報に債務整理をした情報が残っているから」という理由によって、借入れやクレジットカードの作成が拒まれることはありません。

しかし、生活していれば、誰もがクレジットカードなどは普通に利用しており、何かしらの信用情報は残っているのが一般的ですが、債務整理のブラックリストから抜けた人については「信用情報が何ひとつない」という状態です。(このような状態をスーパーホワイトと呼んでいます)

スーパーホワイトの人がいきなり額の大きい取引をしようとすると、信用情報の審査に慣れている会社などは、慎重に対応すべきと判断し、「貸さない」という結果になる場合があります。
そのため、信用情報に少額の掲載が行われる取引から始め、信用情報に関する履歴を作ってから大きな取引をするようにしましょう。このような履歴のことをクレジットヒストリー(クレヒス)と呼びます。

もう一度住宅ローンを利用するには

住宅ローンは、住宅を購入するための非常に大きな額のローンです。そのため、審査はとても慎重に行われます。
当然ですが、「ブラックリストには載っていない」というだけで何千万円も貸してくれるはずはなく、年齢・収入・仕事の内容・頭金の額など、様々な事項を総合的に判断します。
前述したクレジットヒストリーをしっかり作る、頭金をしっかり貯める、この2点によって住宅ローンはかなり借りやすくなります。

任意売却などによる対応策

今回のコラムでは、自己破産した後はどうなるのか、そして自己破産が及ぼす影響についてお伝えしました。

債務を免責してもらえる自己破産ですが、手続き中は影響を受けることが多々あります。どのような影響があるかを知り、適切に対処をしていけば、特に怖いものではありません。
特に住宅ローンがある場合には、任意売却も検討することになると思いますので、任意売却に強い不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。

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