住宅ローンの一括返済。メリット・デメリットを知っておこう！

住宅ローンの返済は、非常に長い期間を要します。長期に渡って返済を行っていると、その途中で自宅を「売却したい」・「売却しなければならない」という状況になられる方もいるのではないでしょうか。

住宅ローンの返済が残っている住宅には「抵当権」が設定されています。まずは、その抵当権を抹消しないことには住宅を売却することが基本的にはできません。つまり、自宅を売却するためには残っている住宅ローン残金を一括で返済し、債権者に抵当権を抹消してもらわなければならないのです。

しかし、住宅ローンの一括返済にもメリットとデメリットがあります。売却時のトラブル回避や売却後の生活への影響にも関係してくると思いますので、このメリットとデメリットを事前にしっかり理解しておくことはとても重要なことだと考えます。

そこで、本コラムでは、住宅ローン一の括返済に伴うメリット・デメリットについてお話したいと思います。

住宅ローン一括返済のメリット

まず、住宅ローンを一括で返済することの一番大きなメリットといえば、金利の支払いが無くなることでしょう。利息に関しては、残っている債務の額が大きければ大きいほど、残りの返済期間が長ければ長いほど多額となりますので、一括返済することによって元金以外にかかる余計な支出を抑えることができます。

また、住宅ローンを利用した際に保証料の支払いを一括で行っているのであれば、一括返済に対応する分の金額が戻ってきます。そして何よりも、返済をし続けていくという精神的負担から解放されるのはとても嬉しいことです。

住宅ローン一括返済のデメリット

しかし一方で、住宅ローンの一括返済にはデメリットもあります。その最たるものは、やはり手持ちの現金が少なくなるということではないでしょうか。手元にお金がないと、急な入用が発生した際に対応ができず困ることになります。一括返済を行う場合には、ある程度、手元にもお金が残るように事前に計画を立てて準備しておく必要があります。

また、自己居住用ではなく投資用として購入している不動産などの場合においては、住宅ローン金利を上回る運用利回りが得られている状況での一括返済は逆に損になるといえます。団体信用生命保険や火災保険などに加入していた場合、一括返済することでこれらの補償対象から外れることになりますので、再度、必要な保険に加入するなどしなければならないからです。

そして、金融機関や返済方法などによっても異なりますが、一括返済は繰り上げ返済になりますので所定の手数料が発生します。残っている債務の額によっては、手数料のほうが高額になるケースもありますので様々な手続きに要する手数料についても事前のチェックは必要です。

住宅ローンの一括返済はした方が良いのか、しない方が良いのか

前述のとおり、住宅ローンの一括返済には、メリットもあればデメリットもあります。世の中の情勢、借入れをした金融機関、住宅ローンの契約内容など、その時の状況によって一括返済した方が良いのか、しない方が良いのか変わります。どちらが有利になるといったことは、一概には決められないのが実情です。

やむを得ない事情により、どうしても自宅を売却せざるを得ない場合以外では、一括返済のメリット・デメリットを十分時間をかけて考慮して、シミュレーションをしっかり行った上で判断するのが良いでしょう。

債務が残ってしまう場合でも自宅の売却は可能か？

住宅ローン残金より売却価格（売却査定額）のほうが安価であるというように、自宅を売却しても結果的に債務が残ってしまう場合は、原則、自宅を売却することはできません。住宅ローンの返済を続けていくか、一括返済をして売却するかのどちらかになります。

しかし、処々の事情で自宅を売却をしなければならない状況（例えば、住宅ローン滞納による差押や競売申立てなど）にある場合には「任意売却」という方法を選択することで、債務が残っていても自宅の売却が可能になるケースもあります。

このような状況では、逆に何も対策しないでいると不動産競売によって強制的に自宅が売却されてしまい、手元には何も残らず借金だけが残るといった最悪の状態になってしまいかねません。そのような場合には、一度、任意売却をご検討ください。

任意売却を行うと、一般の売買市場の価格に近い価格帯で売却することができるようになりますので、競売になるよりは残りの債務額を少なくできる可能性があります。
住宅ローンが残っているのにどうしても売却が必要な状況になってしまった場合には、任意売却を専門に扱う不動産会社に相談されてみることをお勧めします。良い解決策が見つかるかもしれません。