住宅ローン返済中に離婚。離婚後の住宅ローンの支払いはどうなるの?
世の中がコロナ禍となってから、離婚に伴う住宅ローンの問題でご相談をいただくケースが増えました。そのような中で一番多いご相談が「離婚後の住宅ローンの支払いはどうなるのか」というものです。
離婚により住宅ローンに対してどのような問題が生じるのか、問題点をチェックしながら、解決方法についても確認していきます。
離婚によって発生する住宅ローンの問題
離婚の際に、住宅ローンが問題になるケースは多々あります。
どのような点が問題となるのか見ていきましょう。
共有名義の住宅ローン
住宅ローンを借りる際に、夫(または妻)一人の収入では審査が厳しいとなった場合に、夫婦の収入を合算して住宅ローン審査を行う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合では、夫婦で連帯債務者になったり、あるいは、どちらか片方が連帯保証人になるなどして契約が行われたりします。
その後、離婚することになったとき、自宅から出ていく側としては、別れた後まで債務を負いたくない、連帯債務者や連帯保証人の立場から外れたいと思われる方は多くいらっしゃいます。
しかし、連帯債務者や連帯保証人の解除については、いくら当人同士で協議をしたとしても、債権者(住宅ローンを借りた金融機関等)が簡単には認めてくれません。なぜなら、債務の履行責任(借りたお金を返す責任)に離婚という理由は一切関係しないからです。
住宅ローンが共有名義となっている場合には、離婚後も今まで通り二人が連帯して支払いを続けていく必要があります。
連帯債務者や連帯保証人は解除できるのか
住宅ローンの連帯債務や連帯保証を解除することは難しいという話をしました。しかし、絶対に解除できないというわけでもありません。
では、どうしたら連帯債務や連帯保証を解除することができるのでしょうか。
住宅ローンの残債務を一括で返済する
残っている債務(住宅ローン残金)を一括で返済すれば、何の問題もなく連帯債務者や連帯保証人の立場を解除することができます。
住宅ローンを完済すれば債権も債務も消滅しますので、必然的に連帯債務者や連帯保証人という立場は解除されることになります。
住宅の売却代金で住宅ローンの残金を全額返済できるのであれば、住宅を売却し、余ったお金を二人で財産分与するのが一番スムーズに問題解決できる方法といえるでしょう。
単独名義の住宅ローンに借り換える
夫(または妻)どちらか一人の収入で住宅ローンを借り換えることができるのであれば、連帯債務者や連帯保証人から外れることができます。
しかしこの方法は、「借り換える人に返済能力がある」「残っている債務が少額なため一人でも完済が可能」といった判断を債権者にしてもらえなければ、現実には難しいでしょう。
また、住宅ローンを借り換えるには、再度住宅ローン審査を受ける必要があります。それに伴い費用もかかり、手続きにも時間を要しますので、ある程度の自己資金の用意が必要となる場合もあります。
代わりとなる連帯債務者・連帯保証人を用意する
自身の代わりに債務を引き継いでくれる第三者を用意することで、連帯債務者・連帯保証人から外れることができる場合もあります。
しかしこのケースも、第三者に対する債権者の厳しいチェックが行われることは必定で、容易に認めてもらえるものではありません。
そもそも、連帯債務者や連帯保証人を代わりに引き受けてくれる人を探すのも困難な上、可能かどうかは全て債権者次第となりますので、かなり難しい方法といえるでしょう。
離婚後の住宅ローンの不安を減らすためには
住宅ローンも財産分与の対象となりますので、離婚に伴い、残っている住宅ローンの清算ができないようであれば、離婚後も二人が連帯して返済を続けていくしかありません。
そこで、離婚したら今まで通りの返済ができるかどうか不安のある方や、お互いに身辺をスッキリ整理した状態で離婚したいと思われる場合には、「任意売却」によって住宅ローンの残債務を減らす方法を検討されることをお勧めします。
任意売却とは
「任意売却」は、自宅を売却しても残っている住宅ローンの債務を完済できない場合に、債権者の合意を得て自宅の売却を可能にする不動産取引です。市場相場に近い価格で自宅を売却することができるので、住宅ローンの残債務を圧縮することが可能になります。
また、任意売却後に残ってしまった債務についても、債務者の収入に応じて月々返済可能な金額(例えば、毎月5千円や1万円など)で返済していけるように債権者と話し合うこともできます。
さらに、任意売却では、そのまま住宅に住み続けられる(リースバック)という方法を選択できる可能性もあります。離婚後の経済的不安を少しでも減らす方法として、現在、任意売却を選択される方が増えています。
任意売却は専門家に相談を!
任意売却は、まず債権者の合意が必要になります。
任意売却による不動産取引は、通常の不動産取引とは異なる手続きが多く、一般の不動産会社では不慣れなために対応に時間がかかるケースが多々見受けられます。
その点、任意売却を専門に扱う不動産会社であれば、債権者への対応にも精通し、任意売却業務の流れを熟知しているためスムーズに手続きを行ってくれます。
離婚後に住宅ローンの支払いができなくなれば、債権者によって自宅が差押えられ、競売申立てをされてしまいます。そうなると任意売却できる時間にも制限がかかりますので、離婚という状況になられた場合には、前もって任意売却も視野に入れ、住宅ローンについて夫婦でしっかり協議されることが重要です。
そして、任意売却の相談は、できるだけ早めに行いましょう。