管理費などの滞納でお困りの方
マンションの管理費や修繕積立金は、建物を快適かつ安全に保ち、住民全員が安心して暮らしていくために欠かせない費用です。
【管理費・修繕積立金の主な使い道】
- エレベーターや給排水管の保守・点検
- 共用部分(廊下やエントランスなど)の清掃
- 共用部分の電気・水道などの光熱費
- 管理会社への委託費用
- 将来の大規模修繕のための積立
このように、マンション全体の維持・管理に必要な費用が減ってしまうと、建物の劣化が進んだり、住環境に悪影響を及ぼす恐れもあります。
管理費・修繕積立金を滞納してしまうとどうなる?
マンションの管理費や修繕積立金は、共有部分の維持管理に使われる大切な費用です。
そのため、一部の住民がこれらの費用を滞納し続けると、マンション全体の維持管理に支障が出る可能性があります。したがって、管理組合としても対応せざるを得ません。
管理組合が行う滞納者への対応としては、まず書面や電話による督促が行われます。これでも支払いがない場合、長期滞納や滞納額が高額になった際には、給与や銀行口座の差押え、さらには不動産の競売申立てといった法的手続きに発展することもあります。
このように、滞納はご自身だけでなく、他の住民やマンション全体に大きな影響を与えるため、くれぐれも注意が必要です。
滞納者がいると、次のような問題が発生します。
- 必要な修繕が遅れる・できなくなる
- 清掃や管理の質が低下する
- 他の住民に負担がかかる(管理費の値上げなど)
- マンションの資産価値が下がる可能性がある
滞納しそう・滞納してしまった場合
急な出費や収入の変化などで、管理費や修繕積立金の支払いが難しくなることもあるかもしれません。そのようなときは、何も連絡せずに放置せず、早めに管理組合へ相談しましょう。
何の連絡もなく支払いが滞ると、管理組合としては回収のために法的措置を含めた厳しい対応を取らざるを得なくなる場合があります。
しかし、事情を説明し、事前に相談しておけば、分割払いや支払い時期の調整など、柔軟な対応をしてもらえることもあります。
- 督促状や内容証明郵便が届く前に対処できる
- 法的手続き(差押え・競売など)に進むのを防げる
- 自分自身の信用や不動産価値への影響を避けられる
- 管理組合との信頼関係を保てる
滞納金の支払い目途が立たない場合
どうしても管理費や修繕積立金の支払いの目途が立たない場合は、マンションの売却を検討することもひとつの解決策です。
ただし、滞納金が高額になると、売却時にも大きな影響が出てしまいます。なぜなら、売却時には滞納している管理費等を売主(区分所有者)が精算するのが一般的だからです。
- 売却代金から滞納金を差し引くと、手元に残るお金がほとんどなくなる
- 滞納金が大きすぎて、売却代金で補いきれず現金を用意する必要がある
- 現金が用意できないと、売却自体が成立しない可能性もある
このような状況の中で、滞納を何とかしようと、知人や親戚、消費者金融などから借金をする方もいます。
しかし、借金をして支払っても根本的な解決にはなりません。それどころか、返済が重なることで生活がさらに苦しくなり、最終的に生活破綻を招く恐れもあります。
支払いの目途が立たない状況が続くなら、早めに売却を検討することで、損失やトラブルを最小限に抑えることができます。
管理費や修繕積立金の滞納を理由にマンションを売却する決断は、気持ちの上では簡単ではないかもしれません。ですが、生活を立て直す第一歩として、前向きにとらえる気持ちも大切です。
滞納しても任意売却できるの?
管理費や修繕積立金を滞納している状態でも、マンションの任意売却は可能です。
すでに管理組合から「競売」を申立てられていたとしても、任意売却の手続きを進めることはできますので、必要以上に不安に感じることはありません。
滞納が続いている管理費や修繕積立金については、任意売却によって得た売却代金から精算されるのが一般的です。
つまり、売却が成立すれば、滞納金をすぐに全額支払う必要はありません。
もちろん、管理費や修繕積立金は、マンションの維持管理に欠かせない大切な費用です。
「周囲の目が気になる」「早く支払いたい」と思われる方もいるでしょう。
ですが、無理をして支払うことで生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。
支払える範囲で誠実に対応しながら、任意売却による解決を検討することが、現実的で負担の少ない方法といえるでしょう。
管理費・修繕積立金の滞納から競売申立てに至るまでの流れ
マンションの管理費および修繕積立金は、建物の維持管理や資産価値の保全のために区分所有者が負担する義務的経費です(区分所有法第19条等参照)。
これらの費用が長期にわたって滞納された場合、管理組合の財政運営に重大な支障を及ぼすことから、段階的に督促・回収措置が講じられるのが通常です。
以下では、管理費・修繕積立金の滞納から競売申立てに至るまでの一般的な流れを解説します。
「気づいたときには手遅れだった」とならないためにも、事前に流れを把握しておくことが重要です。
- 長期滞納や滞納額が高額になる(区分所有者)
▼ - 書面や電話による督促(管理会社)
▼ - 理事会で滞納状況を報告し、法的対応を検討(管理組合)
▼ - 年1回の総会で法的手続きの実施について決議(管理組合)
▼ - 内容証明郵便による請求書が届く(管理組合・弁護士等)
▼ - 支払い督促が送達され、応答がなければ訴訟に発展(裁判所)
▼ - 管理組合による競売の申立て(裁判所)
一定期間を経ても支払いがなされない場合、管理組合は支払い督促や民事訴訟の提起を経て、最終的に不動産競売の手続きを進めることになります。
競売は、所有者の意思にかかわらず物件が強制的に処分される法的手続きであり、区分所有者にとっては大きなリスクとなります。
そのような事態を避けるためにも、滞納が発生した時点で早期に管理組合や専門家に相談し、現実的な対応を取ることが極めて重要です。