自己破産せずに住宅ローン問題を解決する方法をご紹介!
住宅ローンの返済ができなくなったとき、「もう自己破産しかないのではないか・・・」と考えられる方もいるでしょう。そして、住宅ローンの返済がまだ残っている人が自己破産をするとどうなるのかという点も気になるところです。
しかし、自己破産しか解決の道がないわけではありません。
本記事では、住宅ローンを滞納してしまった場合に、自己破産をせずに解決する方法について紹介いたします。
東証一部上場不動産会社、外資系金融機関、任意売却専門会社を経て、日本全国の不動産を対象とした任意売却を専門に扱う「株式会社いちとり」を設立。
勇気を出して相談してくださったご相談者様に最後まで寄り添ってサポートすることを信条に、現在も会社代表を務めながら代表相談員として、住宅ローンの悩みを抱える方々の問題解決のために精力的に活動している。
長年培ってきた任意売却に関する豊富な知識と経験を活かして、個人・法人問わず、年間500件以上の相談を受けており信頼も篤い。
自己破産について
まず、自己破産とはどのようなものかということについて説明いたします。
自己破産とは、経済的破綻により債権者に対して債務を弁済することができない状態になったとき、債務者自身の申立てによって、弁済ができないことを裁判所に認めてもらい、全ての債務を免除してもらう手続きのことをいいます。
この自己破産には、いくつか種類があります。種類ごとにみていきましょう。
自己破産の種類
自己破産には、大きく分けて「同時廃止」「管財事件(通常管財)」「少額管財」の3種類があります。
破産者の財産状況などによって、どの手続きで自己破産が行われるのか決まります。
では、それぞれの手続きについて確認していきます。
同時廃止
同時廃止は、換価(財産をお金に換える)して配当(債権者に返済)する財産がない場合や、免責不許可事由※1がないと認められる場合などに用いられる手続きです。
破産手続きの開始決定と同時に破産手続きが廃止(終了)するため、破産管財人※2が選任されることもありません。
したがって、破産管財人による財産調査や換価、配当なども行われず、裁判所に支払う費用も少なくて済むので、短い期間で手続きを終えることができるという特徴があります。
管財事件(通常管財)
管財事件(通常管財)は、処分する財産が多い場合などに用いられる手続きです。
裁判所によって破産管財人が選任され、財産や借金の状況、免責不許可事由の有無などが調べられ、財産の管理・処分・配当などが破産管財人を通して行われます。また、破産手続きに入る前に裁判所へ予納金※3を納める必要があります。
少額管財
少額管財は、前述の管財事件(通常管財)の破産手続きにかかる業務と費用の負担を軽減する目的で運用されることとなった手続きです。
申立人の財産が一定の金額以下で免責不許可事由などもないようなケースは、少額管財手続きにすることで掛かる費用が少なくて済む上に、手続きの簡素化によってスピードアップが可能となり、少額管財手続きが運用されるようになってからは自己破産が利用しやすくなりました。
自己破産の特徴
自己破産をすると、すべての借金返済の義務が免除されるため、債権者による督促などがなくなるというメリットがあります。一方、財産がある場合には差押えられて換価され、債権者へ配当(返済)されてしまいます。
また、一定期間の間はクレジットカードの新規申込みができない、就職できる職業に制限がかかるといったデメリットもあります。
自己破産の免責について
債務者の有する債務は、破産手続開始が決定されても全てが免除される訳ではありません。免除を希望するなら、裁判所に対して免責許可の申請を行い、許可を受ける必要があります。免責許可の申請が裁判所によって許可されると、免責の対象にならない債務を除いて、全ての債務の支払い義務が免除されます。
また、破産を招いた要因によっては、免責許可が受けられない場合もあります。
免責の対象にならない債務
以下のような債務は、免責許可の対象にならないため、支払い義務は免除されません。
▼免責の対象にならない債務▼
- 罰金や罰則
- 養育費
- 存在を知りながら債権者一覧表に記載しなかった債務
- 加害行為に基づいた不法行為の損害賠償債務 など
免責許可が受けられない事由
破産を招いた要因が以下のようなケースの場合、免責許可が受けられないことがあります。
免責許可が受けられなかった場合には、全ての債務が残ってしまうこともありますので注意しましょう。
▼免責許可が受けられない事由▼
- 借金の主な原因がギャンブルや浪費などの場合
- 財産を隠した場合
- 裁判所や破産管財人が行う調査に協力しなかった場合
- 過去7年以内に免責を受けている場合 など
破産手続きの対象になるもの
自己破産すると、裁判所の指示に基づいて、一定の価値ある財産は手放さなければなりません。
では、どのような財産だと手放さなくてはならないのか、どのような財産なら手放さなくてよいのかを確認します。
手放さなくてはならない財産
- 土地や住宅などの不動産
- 高額な預貯金
- 20万円以上の価値ある資産(自動車・宝飾品・美術品といった価値のある高額なもの) など
手放さなくてもよい財産
- 生活必需品(家具・家電・衣料品など)
- 99万円以下の現金
- 仕事に必要な道具類 など
住宅を所有している状態で自己破産をすると
住宅を所有している状態で自己破産を申立て破産開始が決定すると、住宅は差押えられ、競売によって売却されます。そして、売却代金をもって債務の返済に充当されますので、債務者は住宅を手放さなければならなくなります。
また、住宅を所有していると資産があると認められるため「管財事件(通常管財)」の扱いとなり、破産管財人(弁護士など)によって資産の調査・管理・換価処分が行われます。予納金などの費用が別途かかるだけでなく、破産者本人によって財産を処分する権利も失います。
自己破産せずに住宅ローン問題を解決するには
自宅の差押えや競売申立てが、住宅ローン滞納に起因する場合には、自己破産を申立てる前に、まずは「任意売却」を検討されてみてください。
任意売却では、不動産会社が債務者と債権者との間に入り、債権者の合意を得ることで、競売ではなく通常の不動産売買と同じ方法で不動産を売却していきます。任意売却であれば、市場相場に近い価格での売却が可能となりますので、自己破産して自宅を競売で売却するよりも、住宅ローンの残債務を減らすことができます。
また、残債務については「払える範囲で少しずつ返済してく」ことの相談もできるため、これまでのような高額な返済を毎月行っていくこともなくなります。任意売却によって、競売よりも自宅を高く売却することができれば、債権者としてもより多く債権を回収することができますので、金融機関にとっても実はメリットがあります。
住宅ローンにお悩みの方は、まずは任意売却専門会社に相談しましょう
住宅ローン問題を解決しようとして先に自己破産をしてしまうと、免責許可を受けた債務に関しては支払いを免除されますが、自宅には住めなくなり、必要最低限のものしか手元に残せなくなってしまいます。また、免責対象にならない債務については、引き続き返済していく必要があります。
そこでまずは、「任意売却」の相談を専門家にすることをお勧めします。相談した結果、任意売却での解決が難しいとなった場合に、次の手段として自己破産を検討しても決して遅くはありません。
また、任意売却をしたあとで自己破産手続きを行う方法もあります。任意売却によって自宅を売却した後であれば、破産者本人に財産といえる不動産がないため(任意売却で売却済のため)、財産を処分して債権者に配当する手続きをする必要がなくなります。
つまり、破産手続の開始と同時に破産事件が廃止される「同時廃止事件」の扱いとなり、管財事件(通常管財)より費用も少なく、期間も短く解決することができます。
「任意売却」から「自己破産」という流れで対処したほうが、債務者にとっても債権者にとっても、良い結果に繋がるケースが多いのです。さらに、任意売却では、リースバックという方法を利用することで、不動産購入者に賃料を支払いながら、そのまま自宅に住み続けることができる可能性もあります。
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